ベニ・コンプレックス　　　曽我部浩人（講談社ラノベ文庫）



英雄の資質を持った少年が、義姉との結婚を阻止するために嫁探しをする話。
これだけだと何がなんだかって感じですが、大体これであっているという。
勿論、ヒロインが人外だったりバトル要素があったりと単純なラブコメではありませんが。
全体的には、流れがわかりやすく、起承転結がシッカリしたストレートな構成になっています。
あと、姉キャラがメインヒロインというのが昨今では珍しくて目を惹きますね。

主人公は高校卒業までに嫁を探すべく奮闘する高校二年生の少年。
英雄の血脈である「紫禁の血脈」であり、妖怪に狙われやすかったり身体能力が高かったりする。
超ブラコンな妖怪の義姉（巨乳）に育てられたために、おっぱい星人であり、シスコン。
また、生まれと育ちの影響で、大概のことには動じない図太い神経の持ち主。
そして外見で好悪を判断しない器の大きさをも持ち合せている。
ただ、女の子のお願いを断りきれなかったり、自分が傷つくことを厭わなかったりと甘い部分も。
勉学はダメだが、顔はイケメン予備軍、喧嘩も対人では無敗なため異性からはこっそり人気がある。
ただしそのほとんどはブラコンな姉の牽制によって近づくことすらままならないという裏事情が。

ヒロインは化け猫な義姉、大和撫子な白蛇、自由奔放な蝦蟇、厨二病な魔法使い。
サブヒロインポジに後輩気質な牛鬼、爆乳な鬼女。
一番のお気に入りは学園「高嶺の花な美少女」ランク四位の同級生、長里巳緒。
やや幼げな容姿ではあるものの、姫カットに整えられた黒髪が象徴するように、純和風の美少女。
清く正しく美しく、がモットーの今時珍しいタイプの女の子。
基本的におしとやかで控えめだが、その実いつでもどこでも既成事実を作ろうとする肉食系なところも。
家事能力は高く、特に料理に関しては達人級の腕前。
母の妖術と父の剣術を受け継いでおり、戦闘力もかなりものだったり。

現時点（三巻）においての評価はＣ。
主人公もヒロインも、己の立場や心情をしっかり考えていて、その上で能動的なのがいいですね。
おかげで掛け合いが活き活きしていてテンポ良く楽しめます。
難を言えば、派手さがないというか、これといった印象が残るような部分がないことでしょうか。
挿絵が少し淡白というか、描写に噛み合ってないのもそれを助長していますし。
ハーレムスキー的には、今後も嫁候補が増えるのを期待したいところなんですが…
主人公もヒロインもハーレムをほぼ容認していますからハーレムエンドはほぼ確定ですし。