地味なおじさん、実は英雄でした。 三河ごーすと(ダッシュエックス文庫)
地味なおじさんの無自覚成り上がりファンタジーストーリー。
大枠としてはダンジョン攻略&配信ものですね。十八年前の天変地異で迷宮が出現した現代世界が舞台です。
誰も知らなかった(当人も無自覚)最強の実力が、ふとした切欠で世の中に知れ渡ってしまう。
という、現代ダンジョンものではお約束の展開から始まる物語なわけですが…
主人公が地味なおじさんなのがテンプレ感溢れる世界観の中で良い意味での異物感になっている印象。
何せダンジョンに入る動機からして「ストレス発散」という切迫感&ストーリー性皆無なものですし。
ラブコメ面はヒロイン候補たちがかなり年下ばかりということで、主人公側は現状無反応(というか敬遠)。
主人公はストレスを抱えながら、面倒な仕事をこなす毎日を送る社畜サラリーマン。
ダンジョンという名のバッティングセンターに通うことが秘密のストレス発散法。
ずっと搾取される側に人間であったがゆえに「優しい人」が染みついており、承認欲求や上昇志向は皆無。
真面目だけが取り柄で、遵法精神にも自信ありではあるものの、とにかく自己評価が低い。
内心の呟きや独り言には素が出るが、話す言葉は相手が誰であってもまず丁寧語。
家族を唯一の幸福の拠りどころとしており、家族に頼られることは搾取には入らないと考えている。
食べたいものを、食べたい時に食べるのが好き。
仕事とプライベートを絡めたり、何かができることを人に知られるのが苦手。
ヒロインは天真爛漫な姪、人気配信者JK、責任感の強い後輩、歌姫な配信者。
一番のお気に入りは主人公の職場の同僚にして後輩にあたる新卒二年目の正社員、鵜飼円花。
痩せた身体にアンバランスなほど豊かな胸が目を惹く、清楚や実直といった言葉がよく似合う美人。
責任感の強さで損をするタイプだが、妙に図太く生命力もあり、男女の距離に無頓着気味。
休みは美味しいものを食べに行ったり、買い物したり、ゲームをしたりしている。
現時点(二巻)においての評価はC。
主人公が人生経験をある程度積んでいる中年男性なだけあって、終始メンタル的に落ち着きがあるため
まあ、内実は社畜生活で擦り切れ、枯れてしまっているだけなので不憫極まりないのですが…
なにはともあれ、ダンジョン攻略が話のメインであるにもかかわらず、安心して読み進めることができます。
擦り切れていると言っても、家族には愛情があり、困っている人を放っておけない善性は残っていますしね。
その分ヒロイン候補への対応が塩というか、色恋的な意味で全然興味なさげなのが笑えますが。
本筋は営業先の悪徳パワハラ男をこらしめ、その結果として会社の危機を救った主人公。
しかしそのせいで仕事が増え、更には反社組織にも目をつけられそうと、ストレスの増加は避けられそうになく…?