やがて黒幕へと至る最適解   藤木わしろ(HJ文庫)



最愛の人のため世界そのものを書き換える暗躍無双ファンタジーストーリー。
大枠としては逆行ものですね。絶対的忠誠を誓った主の死という最悪を覆すために過去へと回帰。
元々の歴史では理不尽な死を迎えるはずだった者達を救い、仲間に加え、未来知識を武器に暗躍。
悲劇の直後ではなく、そこから十年かけて情報収集などの準備をしてからの逆行、という臥薪嘗胆の末に
タイトル通り、黒幕として確固たる意志のもとに突き進む主人公は正に忠義の士である。
ラブコメ面は主人公が忠義一徹であるため、今のところ色恋にかまけそうにないですが、さて。

主人公は主であるアルテシアに絶対の忠誠を誓うアイゼンフッド公爵家の使用人の青年。
アルテシアの死後、十年の歳月をかけて準備を調え過去(自身が十歳の時代)へと回帰した。
主を死の運命から救い、アイゼンフッドという家門を復興させるという目的のためだけに動いている。
落ち着きがあり、理知的でクールな性格をしているが、押しに弱いところも。

ヒロインは恩人な公爵家当主。サブに諜報員なメイド、聡明な商主、エルフの王女、竜好きな聖女。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(二巻)においての評価はC。
未来知識があるとはいえ、逆行直後は十歳と幼年の上、孤児という難易度高めな状態からのスタート。
腕力もコネもなく、手札は未来知識とそれを有益に使いこなすことができる己の頭脳のみ。
それでも、味方を増やし、敵は容赦なく利用し、己が忠義を貫くために突き進む主人公の姿に痺れます。
仲間になる面々は元々の歴史では悲惨な目にあう者ばかり、敵は同情の余地のない腐れ外道だらけなので
暗躍&復讐メインという暗めの作風でありながら、一切の憂いなく主人公のことを応援できるのも良き。
本筋は仇である六大公爵家の二つ目を没落させることに成功し、次なる暗躍へ。