やり込んでいたゲーム世界の悪役モブに転生しました
                                                          夏乃実(GA文庫)



悪役モブに転生したはずが、勘違いからヒロインの令嬢達に慕われ始めるハーレムファンタジーストーリー。
大枠としては異世界(ゲーム世界)転生ものですね。転生先はモブ悪役奴隷商人。
モブや悪役が転生先なのは珍しくないですが、奴隷商人というのは響きの悪さもあって中々に新鮮。
まあ、肩書きがそうなのはスタート時だけで、すぐに辞めてトレジャーハンターに転職するのですが。
主人公の中身は現代日本人(ゲーム知識アリ)なので、当然ゲーム通りの悪行などできるはずもなく
己の倫理観と成り行きに任せた言動をとった結果、誤解が広がり、ヒロインたちに慕われまくってしまう。
という、勘違いものの要素が濃くなっています。勿論、アイテムや装備、ゲーム知識が凄いだけとはいえ
それも含めての実力だと考えれば、主人公の言葉足らず以外は勘違いではない気もしますが…
ラブコメ面は無自覚に権力者の娘たちの好感度を上げまくる主人公ですが、さて。

主人公は事故に巻き込まれて死亡した後、やり込んでいたRPG世界のモブ悪役奴隷商人に転生した少年。
成り行き任せに動いた結果、帝都直属の暗躍組織「ヴェルタール」の一員と誤解されることに。
小心者で押しに弱い性格だが、根は善人。口下手で言葉足らずなところがあり、そのせいで誤解を招きがち。
色恋には人並みに興味があるが、基本的には保身が優先。

ヒロインは聡明な公爵家姉令嬢、勝気な公爵家妹令嬢、熱烈な聖女妹令嬢、猫かぶりな聖女姉令嬢。
尊大な商人妹令嬢、ゆるふわな商人姉令嬢。
一番のお気に入りは代々と続いている聖々教、その先祖の家系の長女、マリー・クアリエ・アンサージ。
主人公が犯罪組織から救い出し、盲目を治療したニーナの姉。
端正な容姿の持ち主で、人前では令嬢らしい態度を取り繕っているが、素は気さくでノリの軽い性格。
主人公の見た目は好みのタイプ。

現時点(二巻)においての評価はC。
ヒロインたちは悪人に捕まり、奴隷として売られていくだけという絶望的な状況から救い出されたうえ
命の危機や身体的不自由からも解放してもらったのだから、そりゃ主人公にゾッコンになっちゃいますわな。
そして、娘たちから経緯を聞いた家族たち(有力者ばかり)が恩を感じるのも当然なわけで…
いささか主人公に都合がよすぎる感はありますが、過程も結果もこれ以上ない善行なのは確かですからね。
目立ちたくない、という主人公の望みが叶うはずがないのは自明の理と言えるでしょう。
だというのに無駄な抵抗をしてしまうから、更に勘違いが深まっていくのが愉快なのですが。
本筋は三強と呼ばれる権力者たちとの繋がりを得た主人公ですが、本物のヴェルタールに目をつけられてしまい…?