無慈悲な悪役貴族に転生した僕は掌握魔法を駆使して魔法世界の頂点に立つ
                                                         びゃくし(GA文庫)



破滅への道に抗い、魔法世界の頂点を目指す悪役貴族×ハーレムファンタジーストーリー。
大枠としては転生ものですね。原作(小説)が存在する世界の悪役貴族に転生してしまった主人公が
物語通りに進めば待ち受けている死の運命に抗うべく奮闘する、というよくある構図。
当作品の主人公の場合は原作知識を活かして死亡フラグを折る、善行を行うことで悪役貴族を返上する。
といったお約束の行動をとらず、思うがままに覇道を突き進んでいき、結果として原作ブレイクが起きていく。
という方向性なのが新鮮かつ爽快。ブレない姿勢の主人公はやはり魅力的です。
ラブコメ面は手放さないと決めた奴隷三人娘のうち二人と肉体関係に。婚約者との仲も良好で新規奴隷もゲット。

主人公はタイトルも思い出せない小説の劇中にて極悪非道の限りを尽くす「悪役貴族」に転生した名もなき男。
自分の前世の素性すら一切記憶になく、かろうじて思い出せるのは違う世界に生きていたことくらい。
容姿端麗であり、銀に近い滑らかな白磁の髪と闇を想起させる神秘的な黒い瞳を持つ。
理知的で激しい感情を表に出さず、安直に悪意ある提案や理不尽な命令をしない大人びた態度を見せるが
己の欲望には素直。同時に、欲のための努力は欠かさないし、性根はどこまでも誠実。

ヒロインは堅物な奴隷、快活な奴隷、控えめな奴隷、勝気な婚約者、年齢不詳な講師、自由奔放なハーフエルフ。
サブ(昇格候補?)に好戦的な同級生、無口無表情な同級生なども。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(二巻)においての評価はC。
主人公が転生者であることをすぐに家族に告白したり、初めての命のやり取りが重く描写されていたりと
他の作品ならばあまりやらない展開の数々が目を惹きますが、同時にそれらの描写があるからこそ
彼の主役としての存在感が増している印象。作中で描かれていた「誠実なる怪物」が形容としてピッタリすぎます。
いや本当、この主人公色々と覚悟ガン決まりすぎである。そこに痺れて憧れてしまうのですが。
そりゃ彼に魅せられてしまう人間も増えてしまいますわな、ヒロイン枠でなくとも。
本筋は原作主人公との決闘に勝利し、更にはその師匠までをも降して期間限定の奴隷にすることに成功。
しかしそんな彼に暴竜皇女と呼ばれている、皇帝の娘が注目を向けて…?