VAMP on the DEADLINE 伊上円(MF文庫J)
純血吸血鬼の眷属となった少年が主役のバトルファンタジー。
敵側がガチで人間を家畜扱いする吸血種なので、全体的に結構血生臭いですね。
戦闘パートも多めで、あまりほのぼの&コメディは目立たない感じです。
最近の吸血鬼ものは人間にやたらと友好的であったり、存在そのものもコメディ色が強いものが多いですが
この作品は、題材の扱い方としては珍しくはあるものの、むしろ王道と言えるでしょう。
ラストは大きな脅威を退けて、変化はあれども変質はしない日々を過ごしていくエンド。
ラブコメ的には、メインヒロインの瑠姫乃と想いを確かめ合いはしたものの
単独エンドというわけではなく、主人公を皆で囲い込むみたいな感じぬるハーレムで終了。
主人公は善性吸血鬼少女の眷属として日々奮闘する少年。
元人間であり、主人である瑠姫乃によって眷属吸血種にされたという過去を持つ。
どんな時も軽薄かつ飄々とした態度をとっていて、掴み所がないタイプ。
しかし基本的にヘタレで、他にも動揺を隠すのが苦手であったりと、何気に小物臭さに溢れている。
が、意外に図太いところがあり、割り切りの良い性格でもあったり。
ただし色恋沙汰に関しては致命的なレベルの鈍感であり、乙女心にも疎く、デリカシーがない。
まあ、これに関しては人外になったから恋愛できないしという考え方なので仕方ない部分もありますが。
ヒロインはご主人様な吸血鬼、眷属の犬チック少女、セメントなメイド長、強気なボーイッシュ娘。
一番のお気に入りは小動物系な眷属少女、飛塚祢亜。
主人公によって眷属吸血種にされた元人間の少女で、普段は主人公達の住む屋敷でメイドをしている。
年齢の割に小柄な体型で、顔立ちも体型と同じく子供っぽい。
常に控えめでネガティブかつナイーブ気味な性格であり、小動物系な態度も相まって保護欲をそそるタイプ。
主人公のことを「兄上様」と呼んで慕っている。
評価はD。
人間に対するスタンスが違う吸血種同士の対立、という敵味方の構図はわかりやすくていいですね。
相容れない関係が予めできているのでグダグダ感はほとんどありませんし。
ただ、それだけにどうしても内容が殺し合いバトル重視になってしまっていたのが残念なところ。
主人公や瑠姫乃の能力上、派手さや爽快感を感じにくく、地味さや暗さの印象が強くなってもいましたし。
個人的にはもうちょっと学園生活をはじめとした日常パートが欲しかったですね。