魔女に首輪は付けられない   夢見夕利(電撃文庫)



魅力的な相棒(魔女)に翻弄されるファンタジーアクションストーリー。
貴族階級が独占していた魔術が大衆化し、犯罪率が増加した世界が舞台になっています。
主人公が所属しているのは魔術による犯罪を取り締まる魔術犯罪捜査局。要は警察のようなものですね。
新たに配属された「第六分署」はかつて皇国に災いをもたらした魔女たちの巣窟。
ワケありにして問題児なヒロインたちに振り回されつつも、主人公は彼女らと協力して事件解決を目指す!
こういう構成の作品自体は珍しくないですが、物語の完成度という点では流石大賞作といった感じ。
ミシテリーとしては読みやすく、描写力の高さゆえにバトルアクションシーンの読み応えも十分ですしね。
ラブコメ面は今のところ進展なし。メインヒロインのミゼリアからキスをされてはいますが…

主人公はラス・リルテ皇国の魔術犯罪捜査局所属、一般捜査官である青年。
犯罪者を素手でぶちのめし、返り血を浴びるため「血濡れのローグ」と呼ばれており
現場の最前線において多数の魔術犯罪者の検挙に成功している。知名度は高く、ファンもいる。
短気で感情的になりやすく、口も悪いが他者を助けることに躊躇はなく、仕事にも真摯。
また、悪人を捕まえるためであれば面子や金を気にすることもなく、労力を惜しむこともない。
色恋には割と初心。

ヒロインはからかい好きな魔女、粗暴な魔女、聖女な魔女、インドア派な魔女。
サブにふしだらな上司、メイドな事務員。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(二巻)においての評価はC。
良くも悪くも期待通りの面白さがある作品というのが率直な感想になるのでしょうか。
特に、ライトノベルではなんだかんだでただの可愛い女の子になりがちな「魔女」を魔女らしく描き
その肩書きに違わぬ物騒さ、不気味さ、恐ろしさがしっかりと伝わってくるようになっているのがグッド。
ただ、そうであるがゆえにラノベのヒロインとして見ると好感を抱きにくいのが難点ではありますが。
特にメインヒロインのミゼリアとか、終始主人公を振り回しっぱなしの性悪で可愛げが見えませんし。
タイトル通りと言えばそこまでなんですけどね。生真面目な主人公との相性が悪すぎる…
本筋は人間が魔術によって爆弾化させられてしまうという連続テロ事件を解決するも、まだ黒幕がいるようで…?