英雄ブランの人生計画   美紅(オーバーラップ文庫)



最強冒険者の強くてニューゲームな雑用係ライフ&自分探しファンタジーストーリー。
大枠としては強くてニューゲームものですね。と言っても、主人公は転生や逆行をするわけではなく
今の肩書き(0級冒険者)を捨てて第二の人生(10級冒険者)をはじめるというだけですし
戦いを主にして生きるつもりはないのだから、要はスローライフものということになるのでしょう。
まあ、最強冒険者としての実力はそのままなので、結局物騒な展開になってしまうこともしばしばなのですが。
その一方で、この手の話にはありがちな「お前本当は実力隠す気ないだろ」的な迂闊さはなく
雑用係生活のために慎重に実力を隠蔽して生きている様がしっかりと描かれているのはグッド。
ラブコメ面は今のところ進展なし。

主人公は魔王の対抗する人類の最終兵器「0級冒険者」に一年で上り詰め、ジュナフ王国の国民に
甚大な被害を及ぼした黒龍を討伐するも、引退を宣言。その後は市民の生活を助ける雑用係の仕事に惹かれ
0級冒険者「黒帝」を辞めたうえで素性を隠して10級から冒険者をやり直すことにした少年。
師匠と行動を共にするようになる前の記憶がないが、第六の魔王の心臓を持っていたり
人間と魔族を融合させるという外道な行為を行っていた組織の最高傑作であったりと、重い過去を持っている。
黒帝時代は何に対しても無関心、無感動で、生きている理由すらわかっていなかったが
誰かの役に立つような依頼を受けたいと思うようになってからは自分の意思や感情が芽生えた。
落ち着きがあるというか、動じない性格。平穏を望み、価値観の違う相手であっても否定することはない。

ヒロインは純粋な後輩冒険者。サブに面倒見の良い受付嬢、剣聖な師匠、男勝りな妹弟子冒険者など。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(二巻)においての評価はC。
戦いに明け暮れていた主人公が戦場から離れ、スローライフ(雑用係)を望んで新しい人生をスタート!
とまあ、珍しくもない導入から始まる物語なわけですが、この手の話で実際に無事スローライフできた主人公って
見たことがないんですよね。その実力や過去ゆえに絶対に厄介事に巻き込まれて戦う羽目になりますし。
勿論当作品の主人公も例に漏れず、なんだかんだで魔王や外道組織と対峙することになります。
彼自身は普通の性格の善人ですし、放っておいてやれよと思うのですがそうもいかないわけで…
本筋は雑用ライフをおくりつつも、外道組織の拠点潰しや幹部の撃破も頑張る主人公。
しかしそれによって外道組織は更なる策謀を練り、連鎖的に魔王まで動きを見せて…?