真の実力を隠していると思われてる精霊師、
実はいつもめっちゃ本気で戦ってます
       アラサム(オーバーラップ文庫)



努力だけで最強をも凌駕する、逆勘違い無双ファンタジーストーリー。
大枠としては勘違いものとなりますが、よくある「主人公は自分を弱いと思っているけど他者から見れば最強」
ではなく、その逆「他者は主人公を強いと思っているけど彼自身はそうではないことを自覚している」という
主人公ではなく、周囲の人間のほうが勘違いしている点が特徴となっている作品です。
まあ、他のキャラが皆使える力を使えないというだけで、主人公の実力そのものは十分高いんですけどね。
ラブコメ面は今のところ進展なし。

主人公は学年次席の実力を持ちながら、学院で唯一なぜか契約精霊がいない精霊師の少年。
確かな実力の高さと余裕そうな表情からか、周囲からは契約精霊を温存していると思われているが
実はいつもめっちゃ本気で戦っているため、他者からの評価に反して当人は常にギリギリ。
性格は不真面目というわけではないのだが、全力か頑張らないかの極端な二択しかないタイプ。
普段は冷めた表情で落ち着いた態度をとっているが、それは演技であり、素は感情豊かなため内心は騒がしい。

ヒロインは勝気な後輩令嬢、才色兼備な王女、コミュ障な同級生、戦闘狂な後輩。
一番のお気に入りは主人公と同じユートレア学院に通う同級生(二年生)、リリー・オラリア。
セミロングの薄緑の髪に綺麗に整った顔立ちの、人形のように見える美少女。
主人公と同じく平民出身でありながら入学試験の座学において一位で通過した紛れもない天才。
知的好奇心が旺盛なトラブルメーカーだが、同時に結構なコミュ障で、仲良くならないと何も喋らない。
入学当初に学院で浮いてしまっていたところ、同じく学院内で浮いていた主人公と仲良くなりそれ以来懐いている。

現時点(一巻)においての評価はC。
他の皆が使える力を使えない、という設定の主人公は数多いですが、そのほとんどは落ちこぼれ扱い。
その上で原作開始後に特異な力に目覚めたり、外付けの力を得たりして周囲を見返していく。
というのがお約束ですが、本作の主人公は努力で得た剣術や体術、知識が頼りな、事実上の無力人間。
そうであるにも関わらず、結果を出しているがゆえに本気を隠している実力者扱いという勘違い状態が面白い。
まあ、毎度毎度精神的に崖っぷちな状態で必死に戦っている主人公はご愁傷様の一言ではありますが
それでもいつも最終的にはきっちり生き残り、勝利を掴んでいるのだから大概である。
本筋は二年生の学位戦初戦を勝利で終え、ひとまず安心かと思いきや、もっと大規模な戦いとなるであろう
大精霊演武祭が先に控えており、更には邪霊を操る謎の組織にも目をつけられてしまい…?