魔法警察ファンシー☆マリリン   やますやま(オーバーラップ文庫)



自称・魔法警察の美少女×高校生探偵の凸凹コンビが華麗に(?)事件を解決するマジカル推理コメディ。
タイトルがファンシーすぎて別ジャンルの作品にしか見えませんが、大枠としてはミステリーものですね。
通常のミステリーと大きく異なっているのは主人公の相方であるヒロインことマリリンが魔法を使うこと。
魔法警察の自称通りに魔法を行使する彼女はトリックや動機をすっ飛ばして犯人を当てることができるものの
当然のことながら、それで事件が円満に解決するかと言えばそんなわけないのは自明の理。
なので、論理的思考ができる主人公が過程を埋める推理をしていくという形になっているんですね。
ラブコメ面は今のところ進展なし。主人公に好意を抱く女性は何人かいるようですが…

主人公は自称魔法警察のマリリンに気に入られてしまった高校生探偵として活躍中の少年。
推理力の高さなど、探偵の資質を持つものが多い迷渕一族の人間で、人間観察が職業病。
また、一度でも会ったことのある人間の顔は忘れない。
良く言えば真面目、悪く言えば頭が堅く融通が利かない性格をしており
正義感の強さもあって困っている人を見過ごせず、誰にでも親切にしてしまうところがある。
事件に首を突っ込むのは正義を守りたい、悪を許せないという気持ちが強いから。
過去に叩かれたことがあるため、マスコミはあまり好きではない。
欠点は朝に弱いこと。また、頭脳派であるため体力勝負や身体能力勝負は苦手。
リアリストだが、映画に関しては現実離れしたものが割と好み。

ヒロインはチビっ娘魔法警察、サバサバ系幼馴染、クールな女刑事、真面目な担任教師。
一番のお気に入りは主人公とは小学生からの付き合いであるサバサバ同級生、小宮楓。
セミロングの茶色い髪に、つり目がちの目をした、やや痩せ型でスラッとしたプロポーションの美少女。
気が強くて大人びた顔つきをしている上、見た目のチャラもあってよくヤンキー扱いされているが
少しやさぐれているところこそあるものの、根は真面目で真っすぐであり、割と気のいい性格のツンデレ。
両親がコンビニを経営しており、手伝いで店に立つことも。

現時点(二巻)においての評価はC。
タイトルの時点で予想出来ていたことではありますが、この作品はとにかくコミカルな雰囲気が強く
短めの事件が一巻内で複数起きる短編連作形式になっていることもあわせて、サクサク読めます。
ただ、ミステリーというジャンルの中でのことであるがゆえに、そこの良し悪しがハッキリ分かれている印象。
良しは重い雰囲気になりがちなミステリーを気楽に読むことができるという点。
悪しは事件の中には人が死ぬもののもあるのに、ノリが軽すぎて不謹慎に見えるという点でしょうか。
この辺りは読者の受け止め方次第なので、何とも言えないところではありますが。
というか、魔法ありなんだから、いっそ死者蘇生もありにしてしまえば全部解決だった気がします。
本筋は新たな魔法警察や主人公の従妹等が登場し、賑やかになりつつも二人は新たな事件の現場へ。