リピート・ヴァイス 黒川陽継(HJ文庫)
覚醒した圧倒的な力で悪役貴族が最強英雄へと駆け上がる、最強ザコ悪役×無双英雄譚。
大枠としては悪役貴族ものですね。人気RPGが具現化した異世界が物語の舞台になっていますが
主人公はよくある原作知識持ちの転生者、あるいは破滅した未来からの逆行者ではありません。
予知夢(?)という形で自身の破滅する未来を体験しまくっているため、逆行者に近い感じではありますが…
精神年齢はあくまで夢を見た時点(十二歳)そのままなので、破滅エンドを回避したい!
という目的意識こそあれども、善人へと改心するのではなく、貴族らしい傲慢な性格のままというのが新鮮。
なお、あらすじでは主人公最強もののように書かれていますが、そこまで圧倒的ではない感じですね。
普通に苦戦するどころか重傷を負ったりもしますし。まあ相対する敵が化物ばかりなだけなのですが。
ラブコメ面は本来宿敵になるはずのヒロインに惚れられてしまった主人公ですが、さて。
主人公は原作ゲームのザコ悪役であるライトレス侯爵家の嫡男である十二歳の少年。
夢で幾度となく体験しする羽目になった自分が殺される破滅エンドを回避するべく奮闘することに。
誇り高く傲慢で尊大な性格に、自身以下の人間を見下す態度、敵対者への容赦のなさなど
悪の貴族らしさが目立ち、性根も決して善人というわけでもないが、悪意はないため基本的に理不尽は働かない。
ヒロインは男勝りな船乗り娘、お淑やかな治癒術師、快活な空賊娘。
三巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(三巻)においての評価はC。
悪役貴族らしく、傲慢で酷薄なところはそのままに、しかし破滅エンド回避のための行動の結果として
周囲に慕われ、ヒロインたちに好かれていく様に勘違いもの感が出ていて愉快。
まあ、主人公はあくまで貴族としてのプライドが高いというだけでクズではない(善人でもない)ですし
他者の意見を聞き入れる柔軟さも有しているので不快感を覚えることはないのですが。
敵には一切の容赦がなく、己の誇りのためならば平然と命をかける姿は格好良いですしね。
本筋は他領での騒動を終え、自領へと帰還した主人公。次巻はゴースト系魔物の蔓延るダンジョンへ。