アイアム・ゴブリン   赤月カケヤ(講談社ラノベ文庫)



ゴブリンになった少年と、お色気系アバターに生まれ変わった美少女たちのスローな異世界珍道中。
大枠としては異世界(ゲーム世界)転生ものですね。異世界における主人公たちはゲームでのアバターに
なってしまっているのですが、人間が一人もおらず、全員がモンスターというのが面白酷い。
サキュバスやスライムとヒロインの中にも悲惨な娘がいますが、主人公なんてゴブリンですしね…
まあ、幸い(?)にも行動を共にするヒロインたち、更には異世界人や敵ですらも馬鹿揃いであるため
特に暗かったり重かったりする展開にはならず、ゆるいスローライフなサバイバルが楽しめるのですが。
ラブコメ面は今のところ進展なし。というかヒロイン側がおバカすぎて真っ当な恋愛は難しそう?

主人公は教師(従姉)に懇願されて、ゲーム部の部長に就くことになった元プロゲーマーな高校生の少年。
部活初日、部員である五人の残念美少女たちと共にMMOゲームの中へと転生する羽目に。
三年前、体感型MMOゲーム「エヴァミリオン」の世界大会で優勝しているが
若干自分に酔っていたこともあって天然の痛キャラになっていたことが黒歴史。
eスポーツの世界から去った理由の一つにメンバーとのいざこざがあったことから
絶対に仲間を責めない、仲間のミスは自分がフォローすると決めている。
高校生の青少年らしく、色恋への興味は人並にあるが、同様に自制心もそれなりにまとも。

ヒロインは天然お嬢様なエルフ、ギャルなブラックマジシャン、中二病なスライム、大人しいサキュバス。
おバカなボーパルバニー。サブに女所帯の冒険者PTや合法ロリ女神なども。
一番のお気に入りは異世界ではサキュバスのアバターで過ごすことになった同級生、小日向杏寿。
丸いボブカットで、前髪が両目を隠している、地味な感じに反して豊満なワガママボディを有する美少女。
異世界ではアバターがサキュバスのため、蝙蝠の翼、曲がった双角、先端がスペード形の尻尾が生えている。
大人しく人見知りな性格で、対人能力こそ低いものの意外にたくましいところがある。
成績は普通で常識もあるのだが「なんでそんなことをするの?」ということをしてしまう残念系おバカ。
家の方針で色々なもの(段ボール、芋虫、バッタなど)を食べてきた経験がある。

現時点(一巻)においての評価はC。
ゲーム世界が舞台の話ではありますが、魔王討伐や世界滅亡回避といった壮大な目標はなく
かといって元の世界に戻るための明確な情報や手段があるわけでもない。
つまりはただ生き延びることが最大の問題。しかし主人公たちの見た目はモンスター。
当然、現地人からは受け入れられないため、お約束のはじまりの街で情報収集&下準備とはいかないわけで。
それでも悲壮感などなく、たくましくおバカに異世界ライフをおくる彼らの姿は実に楽しそうでグッド。
まあ、事実上唯一の常識人であるがゆえに話を聞かないバカたちに苦労しまくりな主人公はご愁傷さまですが。
本筋は魔王軍幹部を撃破するも、異世界スローライフは続行の模様。