クズレス・オブリージュ   アバタロー(角川スニーカー文庫)



最強悪役転生×勘違いコメディの錯綜成り上がり譚。
大枠としては異世界(ゲーム世界)転生ものですね。原作通りに話が進行すれば破滅確定なクズ悪役が
主人公の転生先であるため、悲惨な死を回避するべく原作知識を活かして文字通りの生まれ変わり!
というのが大まかなあらすじなわけですが、この手の話で想定通りに事が進むことはあり得ないのが世の常。
当作品も例に漏れず、モブの立ち位置を目指すという主人公の思惑とは裏腹に、原作キャラとは因縁ができ
周囲の人間からは好意や興味を向けられ、正体を隠しながらとはいえ無双の活躍を披露。
と、自覚のないまま主人公ロードを一直線に突っ走る姿は爽快にして愉快の一言。
なお、世界観が18禁ゲーではありますが、直接的なエロ展開はありません。お色気イベントはありますが。
ラブコメ面は原作主要キャラにフラグを立てまくっている主人公ですが、さて。

主人公は18禁ゲーム「ラスト・アルカナム」にて破滅エンドを迎える、ユーザーからも制作サイドからも嫌われた
クズ悪役に転生してしまった少年。破滅エンド回避のため、原作知識を活かしたモブ人生を決意している。
保身第一な性格で思慮深いように見えるが、根本的に間抜けであるがゆえにガバ具合が目立ちがち。
目的のためであるならば行動力は人一倍であり、どんな努力や苦労も厭わない。
美少女ハーレムを作りたいと言っていた憑依先とは違い、純愛が好み。

ヒロインは献身的なメイド、ドジクールな師匠、正義感の強い辺境令嬢、原作主人公(女)、ムードメーカーな級友。
一番のお気に入りは「ラスト・アルカナム」にてトップクラスの人気と魔力を誇るヒロイン、カルラ・オーランド。
「氷の魔術師」の異名を持つ実力者であり、作中では主人公の魔法の師匠を務めることに。
藍色の髪に怜悧そうな表情、そして圧倒的な美貌と胸部を有する美人。
クールな見た目に反してとんでもないドジで、しかも、自分のミスを何事もなかったかのように処理したり
常識のなさゆえに突飛な思考を巡らせたりと中身はかなりのポンコツ人間。
細かい作業が基本的に苦手で、原作でも壊滅的な料理の腕前を披露している。
特別たる域外魔法を持つがゆえに他人と触れ合うのが好きではないが、心を許した相手には甘い。

現時点(三巻)においての評価はC。
目立ちたくないと主張している主人公がなんだかんだで目立ってしまうというのはお約束ではありますが
当作品の主人公の場合は普通に自業自得というか、自分から積極的に目立ちに行っている気が…?
いや、当人はそれでも本気でモブになれると思っているようなので、ただアホなだけなのでしょうが。
主人公のことを素晴らしい人だ、凄い奴だと思い込む周囲の面々のポンコツっぷりも大概ですが
実際問題、勘違いされても仕方がないだけのことはやっているわけで…
そもそも主人公自身も周囲に人間に対して偏見かましていますしね。双方向勘違いの相乗効果が酷いw
本筋は前巻から三年が経過し、学院編スタート。早速目立ちまくり嫌われまくり事件に巻き込まれまくりと
クズレス・オブリージュ計画は風前の灯となっていく主人公ですが…?