双子探偵ムツキの先廻り ひたき(電撃文庫)
行く先々で事件が起こる死神体質な双子探偵が先回りで事件を解決するミステリーストーリー。
大枠としてはミステリーものですね。と同時にアンチミステリーでもあります。
探偵あるところに事件あり。ミステリー最大のお約束にして、これがなければ始まらないというこの現象を
体質という形でハッキリと明言してしまい、それを前提にして活用することで事件を解決していく。
ミステリーというジャンルをこれ以上なくメタり、そしてそれゆえに軽快極まりない読み味が楽しい作品です。
ラブコメ面は今のところ進展なし。妹の赤音とずっと一緒なのは間違いなさそうですが…
主人公は華麗なる探偵一族「睦月家」の末裔にして超天才&超心配性な双子探偵の兄。
真面目だが不愛想で警戒心が強く心配性な性格。常人離れした用心深さの持ち主で
もしこの場で事件が起きるとしたら事前にどう対策しておくかを考え、行動するのが癖になっている。
証拠を集め、論理的な説明をすることが得意だが、人の心を読むのが苦手で物言いが傲岸不遜。
しかも、いつも眉間に皺が寄っているため近寄り難いなど、コミュ力は低い。
まとまった金を手に入れ、周りに人がいない安全な住居を手に入れ、人との繋がりを断ち
事件を起こさず静かに暮らすことを旅のゴールだと定めている。
冤罪を作らない。法律を犯さない。事件に無関係な者を死なせない。がルール。
ヒロインは能天気な妹、トンチキお嬢様探偵。
一番のお気に入りは祖父の跡を継ぎ探偵となった八雲探偵事務所の所長、八雲迷子。
黒のゴシックドレスにブラウンのトレンチコート、ハンチング帽に縦巻きロールの髪がトレードマークな
見た目は十五歳ほどだが実は二十歳な小柄童顔美少女。
喜怒哀楽がわかりやすく、格好つけかつ迂闊な性格で、感情が声に出るタイプ。
常にお嬢様口調で喋るが、キャラ付けではなく素だったりする。
ミステリーマニアで、ミステリーについて語りだすと止まらない。
現時点(一巻)においての評価はC。
正に「その発想はなかった」の一言に尽きる作品ですが、一発ネタで終わっていないのがいいですね。
探偵が事件を呼ぶというのならば、事件が起きそうな状況が整った時点で下準備しておけばいいじゃない。
事件発生を前提にして用意周到に探偵が動くのならば、そりゃスムーズに証拠は集まるし解決も早いですわな。
あらかじめ現場にカメラを仕掛けたり、重要人物に盗聴器仕込まれたりしたら犯人側はもうお手上げですよw
本筋はいくつかの事件を解決し、双子探偵の流浪の旅は続く。