スクール=パラベラム 水田陽(ガガガ文庫)
劣等生を装う最強の少年傭兵が実力を隠し切れない学園ハイスピードアクションストーリー。
大枠としては学園青春もの―――に見せかけて、そこに銃弾と爆薬が付属していたりと、割と物騒な作品。
一点特化型の天才を育成するために作られた学園、という舞台設定はそこまで珍しいものではないですが
内部は利権や派閥でドロドロで、スパイや破壊工作が横行している、という酷すぎる環境ですからね…
そりゃ「最強の傭兵」くらいの肩書きがなければ主人公も主役としての務めは果たせませんわな。
ラストは学園を破壊せんとする不良の蛮行を打ち砕き、少年は再び平和な日々へエンド。
ラブコメ敵にはヒロインの一人である雪代宮古に惚れられるも、主人公自身は恋するところまではいかず終了。
主人公は五才星学園には似合わざる劣等生として過ごしている最強の傭兵。
日系アメリカ人の十八歳で、父が役員を務める民間軍事会社ホワイト・ファルコンに所属している。
若くして優秀社員賞を受賞するほどの才能を持っており、そのスペックは正に完全無欠。
実用主義者であり、自身を万能と天才と評する傲慢な自信家だが、大口に見合うだけの実力の持ち主。
良くも悪くも完成されてしまっているがゆえに、物事に執着するほどの熱意が持てず、人の気持ちがわからない。
その一方で、女性に関しては教育をされなかったがゆえに経験不足で、色仕掛けなどには弱く
特に自分の魅力を知り、それを使うことに躊躇いを持たない女が苦手。
意識的、あるいは無意識的に、自分を窮地にへ追い込もうとする悪癖持ち。
ヒロインはマイペースなカリスマ、天才毒舌芸術家、策略系アスリート、商売人な先輩。
特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
評価はC。
普段は学園一の劣等生としてのんびりと昼行燈を決め込むも、鉄火場となれば守るべき人間のために
最強としての力を思う存分に発揮して、粉塵舞い銃弾が飛び交う中で縦横無尽にアクションバトル!
正に厨二心全開。男の浪漫を体現しているかのような主人公の活躍っぷりにワクワクが止まりませんでした。
そんな彼に守られることになるヒロインたちにしても、苦悩や葛藤がしっかりと描写されているので
ただの舞台装置では終わらない、確固たる存在感と物語を鮮やかに彩る華やかさがありましたしね。
まあ、イイ性格している娘ばかりなので主人公は苦労の連続でしたけども。
本筋は三巻完結と短めながら、才能というテーマの消化、主人公の成長、ヒロインたちの掘り下げなど
最低限描写すべきことはしっかり描かれていたため、奇麗に纏まっていた印象ではありましたが
舞台設定を考えればまだまだ話を広げる余地はあったでしょうし、何より最終巻の終盤にしてインパクト抜群の
新キャラを登場させるのは卑怯すぎるというか、レギュラー化して主人公たちとわちゃわちゃしてほしかった…