清楚怪盗の切り札、俺。   鴨河(富士見ファンタジア文庫)



清楚怪盗の美しい盗みは、俺なしでは成立しない。痛快怪盗ファンタジーストーリー。
ボーイミーツガールから始まる怪盗物語、というキャッチーな設定の作品。
怪盗というと、味方と敵、どちらで登場してもトリッキーな言動で場を沸かせてくれる存在感抜群な存在ですが
それを物語の核である主役に据えているというのが中々に斬新。特に、ラノベではほとんど見ませんしね。
バトルシーンにしても、単純な力のぶつかり合いで終わらずに怪盗らしさが出ているのがグッド。

主人公は他人の紋章魔術すら盗むことができる右手を持つ、裏社会では有名な一匹狼の盗賊。
調子に乗りやすい性格から「最凶の小悪党」と呼ばれているが、自分では「盗みの天才」と名乗っている。
清楚怪盗を名乗る少女・ノアと利害が一致し、盗みのために共闘することに。
意地っ張りで負けず嫌いな性格をしており、それゆえ挑発の類にすこぶる弱い。
「盗みの天才」で在り続けることだけが何よりも守るべき矜持であり、生きる意味そのもの。
盗みは仕事であり、同時に趣味のようなもの。特に、正義を語る連中を圧倒するのが何よりの快感。
大切なものを奪われた経験があるがために、誰も信頼せず、誰とも協力しないのが流儀。

ヒロインはぼくっ娘怪盗、心優しき王女。
一番のお気に入りはユースティス神聖王国第二王女、シンシア=ユースティス。
凛々しくも可憐な顔立ち、後ろで一つに束ねられた金色の髪、翠色の双眸の有する美少女。
打算を度外視した優しさを発揮することから、変人とまで言われている。貧民街での炊き出しが日課。

現時点(一巻)においての評価はC。
怪盗。たった二文字であるにもかかわらず、ここまで浪漫を感じさせる職業はそうないでしょう。
まあ、やっていることはただの犯罪なのですが。言い方を変えているだけで盗賊や泥棒と同義ですし。
しかし「怪盗」という単語に込められている華やかさ、格好良さはやはり別格なわけで。
その拘りの所以を存分に魅せつけてくれる主人公とノアのコンビは見ていてワクワクします。
ただ一点、どこら辺が「清楚」なんだとは言いたいところですがw
本筋は怨敵である傲慢司教を撃破し、復讐を遂げた主人公。しかし相方であるノアには未だ謎が多く…?