さんかくのアステリズム   葉月 文(電撃文庫)



もう、あの頃の関係には戻れない。すれ違うトライアングル・ラブストーリー。
大枠としては三角関係を主題にしたラブコメですね。と言っても、プロローグ時点で主人公と片方のヒロインは
両想いで恋人関係が成立し、そもそももう片方のヒロインは七歳年下の妹分で異性として意識されていない。
という完全に勝負ありな状況なわけですが、そこを覆すのが主人公が患ってしまった特殊な病気。
身体の成長が止まったまま眠り続けるというご都合主義全開な病気によって彼は七年後に目覚めるわけですが
それはつまり、恋人は七歳年上となり、妹分は同い年になるということになるわけで…
ヒロイン側は勿論ですが、主人公も色々大変で、誰も悪くないだけに切なさが炸裂する物語に仕上がっています。
ラブコメ面は現状主人公のヒロイン二人に対する気持ちは同じくらいとのことですが、さて。

主人公は両片想いだった幼馴染と結ばれるも、とある病によって七年間眠り続けることになってしまった少年。
融通が利かず、律儀で真面目で真摯な性格をしており、普段はぶっきらぼうで口が悪く、素直ではないが
天河姉妹(というか天河家)には甘く、弱いため、彼女たちからの大抵のお願いなら無条件で聞いてしまう。

ヒロインは才女な幼馴染、天真爛漫な妹分。
一番のお気に入りは主人公に告白し、結ばれるも彼が病気により七年も眠っていたため
先に大人になってしまい、現在では高校教師を務めている幼馴染、天河千惺。
宇宙飛行士になることが将来の夢だったが、主人公を待つために高校教師になった。
やや浮世離れしているというか、人の心の機微に疎いところがあるが、物腰穏やかで打算がない性格。
頭脳明晰、文武両道、眉目秀麗と天が二物も三物も与えたようなスペックの持ち主。

現時点(一巻)においての評価はC。
七年という年月のワープが、二人のヒロインが抱いていた主人公との距離を逆転させているのが面白いです。
誰よりも距離感が近かった同い年の幼馴染の千惺は七歳年上の高校教師となったことで立場が遠くに。
七歳年下だったがゆえに見守られる妹分という立場の遠さがあった希空は一番近い同級生に。
ヒロインレースで絶対的な有利をとっていた千惺に希空が追い付くにはこれくらいのことがないと無理
というのはわかりますが、これがラブコメの神様の所業だというならば、いくらなんでも容赦なさすぎである。
というか、ヒロイン二人とも七年間ずっと主人公を想い続けていたとか何気に重い…
本筋は思い出の祭りイベントを経て、本格的な三角関係が始まりましたが…?