この青春にはウラがある! 岸本和葉(電撃文庫)
完璧(?)な彼女たちと過ごすタネも仕掛けもある学園ラブコメストーリー。
現代日本の高校、その生徒会を核にしたお話ですね。当然ヒロインの大半は生徒会に所属しています。
タイトルが微妙に不穏な感じですが、別にヒロインたちが裏で悪事を働いていたり、重い事情を抱えていたり。
みたいなマイナス要素はないのでご安心を。漫画のような青春を謳歌するヒロインたちだけれど
ウラでは努力を積み重ねていたり、自分らしさを押し殺していたり、とそれぞれの事情があるだけですし。
そしてだからこそ、裏表のない主人公が彼女たちの信頼を得ていく様が爽快なのですね。
ラブコメ面はフラグを複数立てている様子の主人公ですが、肝心の彼自身は特別が作れず…?
主人公は憧れの生徒会長・八重樫唯がノーパンかもしれないことに気付いたせいで生徒会室に
連行されてしまった自称「ウラオモテの無い高校生」である高校二年生の少年。
友達は多いが親友はおらず、運動も勉強もそこそこ。
お調子者でスケベだが、裏表がなく、聞き上手で気遣い上手の根っからの正直者。
女子の前では嘘だけはつかない誠実な性格をしており、全ての女性に分け隔てなく優しいが
それは特別なものを一つも持たないがゆえに、取り繕うことをしない、すなわちウラを持たないがため。
女性には紳士的に、そしてとにかく優しく接するというのがモットー。
高校生になってからは半一人暮らし状態なこともあり、料理や掃除といった家事は一通りこなせる。
自分の服装には頓着しないが、異性を対象にしたファッションセンスは良い。
ヒロインはポンコツ生徒会長、幼馴染な会計、世話焼きな副会長、寡黙な書記、クラスのアイドル。
一番のお気に入りは鳳明高校生徒会で書記を務めている後輩の高校一年生、双葉椿姫。
会長や副会長の影になっているが、その毅然とした態度や小柄な姿が一部層から熱狂的な支持を得ている。
表情の変化に乏しく、何を考えているのかよくわからないタイプで、実際マイペースなところも。
疲れてしまうから、という理由で教室にいる時は基本一人で誰とも会話せず、必要な時のみ口を開く。
主人公の幼馴染である一ノ瀬ひよりと同じ道場で空手を習っており、見た目に反して戦闘力は高い。
実はムッツリスケベ。
現時点(二巻)においての評価はC。
メインヒロインの秘密を主人公が知ってしまったことで物語は動き始め…!?
という導入は珍しくないですが、その秘密というのが「憧れの生徒会長がノーパンかもしれない」ですからねぇw
インパクト強すぎというか、主人公のみならず、読者も興味を抱かざるを得ない掴みに脱帽。
しかもただの出オチで終わらずに、しっかりと勢いを持続させたまま話が進むのでスイスイ読めますしね。
キャラに関しては、お調子者な三枚目キャラでありながらも、同時に天然女たらしでもある主人公が素敵。
そんな彼の言動に振り回され、時にはときめいたりするヒロインたちの可愛らしさも申し分なし。
本筋は体育祭を経て「皆の理想の青春を、ウラ側から守る」という初めての目標ができた主人公ですが、さて。