ソード・オブ・スタリオン   三雲岳斗(電撃文庫)



魔獣の棲む惑星で国家の存亡をかけた政略結婚に挑む騎士と皇女の、異世界戦記ファンタジーストーリー。
世界観はよくある中世ヨーロッパ風の剣と魔法のファンタジー。と思わせて、人型巨大兵器が出てきます。
また、タイトルにスタリオン(種馬)が入っているし、主人公が「極東の種馬」と呼ばれていたりするので
ハーレムやエロ展開がメインなのかなと思いきや、内容は結構硬派だったりと良くも悪くも予想外が多め。
いやまあ人型巨大兵器によるバトルは見ごたえがありますし、恋愛要素もあるにはあるのですが…
ラブコメ面はメインヒロインのフィアールカと相思相愛ではあるものの、事情から公的に結ばれるのは難しく
しかも任務の都合上、彼女の公認で浮気をしなければならないわけで…?

主人公は皇女フィアールカの元婚約者にして、上位龍を単独で討伐する実績を持つ優秀な煉騎士だったが
皇女の死後は娼館に入り浸る自堕落な生活を続け「極東の種馬」というあだ名で呼ばれている傭兵の青年。
ぶっきらぼうだが女には甘い性格で、娼館に入り浸っていただけあって話術が巧み。
欲がほとんどなく、爵位や領地、金や権力、自分自身の名声にすら興味がない。

ヒロインは男装の元婚約者、悪役王女。サブに生真面目近衛騎士、ロリババア師匠、毒舌諜報員など。
一番のお気に入りは二年前の戦争で戦死したと言われていた主人公の元婚約者にしてアルギル皇国第一王女。
そして現在は双子の兄である皇太子アリオールを演じている少女、フィアールカ・ジェーヴァ・アルゲンテア。
長い銀髪に菫色の大きな瞳の「銀の花」と称えられる美貌の持ち主。
皇族に相応しい尊大な自信、それに見合うだけの知性と洞察力を有する合理主義者だが
その一方で、気まぐれで破天荒、悪戯好きで陰謀を巡らす腹黒な一面も。
皇太子を演じている今でも主人公のことを愛しており、それゆえに人並みの嫉妬深さを見せることがある。
女性らしい胸の膨らみの乏しさが唯一最大の劣等感の源。

現時点(二巻)においての評価はC。
タイトルやあらすじ的に、主人公は軽薄な女たらしキャラかと思っていましたが、そんなことはなかったです。
いや、女性あしらい自体は手慣れている感じなのですけども、計算高く、しかし性根は誠実ですしね。
愛していた婚約者を失っても、表では自堕落に、しかし裏では腐らず腕を磨き続けていたとか格好良すぎる。
しかし死んだと思っていた元婚約者が実は生きていて、男装して皇太子を演じており、それがバレないように
婚約者となる隣国の王女を口説き落としてほしいと依頼してくるとか、主人公本当よく引き受けたよな…
過程も実質的に主人公頼みの丸投げですし。それだけ彼のことを信頼しているということなのでしょうが。
閑話などを読む限り、主人公への恋する乙女感が凄いですしね、元婚約者のフィアールカ。
とはいえ、立場的に主人公と結ばれるのは難しいわ、ライバル多数だわと彼女はかなり不憫なのですが。
本筋は王国を舞台に繰り広げられた帝国の陰謀を打ち砕くも、平穏には程遠く…?