迷宮狂走曲　　　宮迫宗一郎（オーバーラップ文庫）



エロそっちのけで、ひたすらダンジョンを攻略し「最強」だけを追い求める異世界ファンタジーストーリー。
大枠としては異世界（ゲーム世界）転生ものですね。　舞台となる世界の元ネタであるゲームは陵辱RPG。
すなわちエロゲであり、世界の常識として「HP０＝モンスターに襲われ凄惨な目に遭う」となっていて
当然現地民はHPを減らすのは極力避けようとするわけですが、ゲーム知識持ち転生者である主人公だけは
そんな常識にとらわれず、レベル上げの手法として「HPを削っては回復する」がとれるわけです。
が、そんな彼の行動は現地民からすれば非常識であり狂気の行動にしか見えないわけで…
この勘違いを起点としたお互いの主観の差異によるコミカルさが軽妙な読み味を出していて面白い。
ラブコメ面は今のところ進展なし。一応主人公はヒロインたちを異性だと意識する時はあるようですが…

主人公は伝説の陵辱RPGエロゲ「あの深淵へと誘う声」の世界に転生した元日本人の少年。
全ステータスをカンストさせるまで遊びつくしたゲーム知識を活かして冒険者として活躍を繰り広げているが
異世界側の視点だとあまりにイカれた行動が多いため、ギルド内では「黒き狂人」と呼ばれている。
テンションが上がると言動が気持ち悪くなるが、ダンジョンさえ絡まなければ常識的であり
異世界基準では物腰柔らかく、丁寧で親切な人間であるため一般人からの評判は悪くない。
自身のことを善人でもなければ悪人でもない普通の人だと思っている。

ヒロインはボクっ娘ノーム、崇拝型ヤンデレ天使。サブに図太い魔術士。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点（一巻）においての評価はＣ。
平和な世界観での恋愛ゲームならまだしも、生死を賭けたバトル要素がある、特にモンスターが出てくるような
ゲームの世界に転生というのは御免こうむりたいもの。しかもこの作品の元ネタゲーは強○、異種○、リョ○と
エログロ要素まで備えているというのだから猶更。男であるならばスケベ心からの期待感もあるかもですが…
しかし当作品の主人公はエロそっちのけ。最強だけを追い求める変人なのでお色気イベントなどありません。
厳密にいえばイベント自体は起きるのですが、実質的に無視されたり壊されたりで興奮もクソもないという。
なのでそんな彼の周囲に集うヒロインたちも癖が強いどころか、色々アウトな娘揃いだったりします。
本筋はその活躍によって、良くも悪くも名を上げていく主人公ですが、さて。