最強落第貴族の剣魔極めし暗闘譚   タンバ(角川スニーカー文庫)



剣魔極めし最強貴族の新たな暗躍ファンタジーストーリー。
同作者作「最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い」と同じく、正体を隠し、別人として暗躍する主人公の話ですね。
ただ、一人二役だったあちらとは違い、こちらは剣聖・大賢者・劣等生と一人三役な三重生活。
しかも、王国、皇国、大公国と拠点国もバラバラ。式神での不在誤魔化しや転移による移動があると言えども
ブラック企業も真っ青な生活すぎる。そりゃさっさと後継者見つけて引退したいと思いますわな。
というか、いくら一騎当千以上の実力者とはいえ、一個人に頼り過ぎなのはそれでいいのか国として…
ラブコメ面はフラグが立っているヒロインはいますが、主人公が鎖を望んでいないため進展なし。

主人公は小国の辺境男爵家の落ちこぼれにして、学院では劣等生の通称「落第貴族」な少年。
実は王国では「白の剣聖クラウド」として、皇国では「黒の大賢者エクリプス」として称賛されている。
敵には容赦がなく、守護のためには大量虐殺も厭わないが、戦いが好きなわけではない。
また、面倒事を嫌っており、プライドは皆無に近く、名誉欲や物欲も薄い。
愛国心ではなく、戦場で命を落とした母の代わりに家族を守るため、というのが戦う理由。
趣味は風景画(腕前は下手)。夢は自由気ままに世界を旅して、風景画を描くこと。
剣聖であり、大賢者になるために修行ばかりしていたため、異性には不慣れ。

ヒロインはクールな同級生、天真爛漫な同級生、露出癖持ち生徒会長、肉食系な王女。サブに優等生な実妹。
一番のお気に入りは主人公と同じグラスレイン学院の魔導科に所属する妹、レナ・ルヴェル。
肩口で灰色の髪を切り揃えた小柄な美少女。
誰に対しても礼儀正しく丁寧で、大抵のことはスマートにこなしてしまう成績優秀な優等生でありながらも
劣等生な兄のことをやればできる人だと慕っているが、彼の本当の姿は知らない。
その才色兼備ゆえに男子からの人気は高いが、実家の評判の悪さが足を引っ張っている。
部屋から出られないほど病弱だった子供の頃、本で外の世界の情報を取り入れていたことから本が好き。

現時点(四巻)においての評価はC。
普段は劣等生として周囲から馬鹿にされている主人公だが、その正体は最強の英雄!
よく見かける設定ではありますが、王道だからこその格好良さと爽快感が存分に味わえる作品です。
主人公の戦う動機が家族のため、というのもわかりやすくて共感しやすいですしね。
面倒事を嫌っているのに、情に流されてで面倒事に首を突っ込むところもこの手の主人公のお約束ですし。
そんな彼と関わることになるヒロインたちも、健気で嫌味のない可愛さが清涼剤になっていてグッド。
本筋はかなりの敵戦力を削いだため、いよいよ敵国へ逆侵攻することに。