火界王剣の神滅者   ツガワトモタカ(HJ文庫)



人間と魔族が共存する地、すなわち魔界となってしまった日本を舞台にした
魔王の遺物を巡って繰り広げられるバトルエンタテイメントストーリー。
主人公の行動理念がヒロインの蓬田織姫のため!と一貫してブレがないので
彼の活躍を面倒なことを考えず単純明快に楽しむことができるのがいいですね。
また、物語開始段階から上位クラスの実力持ちで、しかも成長が早いので、戦闘面でも爽快感がありますし。
ラストは敵組織のボスに押し勝ち、ようやく平穏な日々が訪れ―――エンド。

主人公は最強種の魔族との修行の末、魔術師となり五年ぶりに日本へと帰還した少年。
最愛の幼馴染である蓬田織姫のためならば、平穏な生活や家族を捨てることも厭わない。
単純一途な性格で、自分の「織姫が好き」という気持ちにとてもまっすぐで素直。
どんな状況であってもそれは変わらず、人前であろうが戦闘中であろうが気持ちを隠すことはしない。
とはいえ、他の女性にまったく反応しないというわけでもない。でも心は常に織姫へと向いている。
ただ、調子に乗りやすく、そのまま暴走してしまうこともしばしば。

ヒロインはツンデレな幼馴染、お嬢様な吸血鬼、巨乳委員長な旧友。
一番のお気に入りはツンデレデレな幼馴染、蓬田織姫。
凛として真面目そうな外見通り、頑固で意地っ張りで負けず嫌いで挑発に乗りやすい性格。
幼少の頃から主人公に惚れているのだが、彼とは反対に、常にツンツンした態度をとっている。
しかしその実、好き好きオーラを隠しきれておらず、傍から見れば誘い受けの口だけツンデレ。要するにチョロイン。
同時に女としてのプライドも高く、一方的に守られる関係を嫌い、追いかけて並び立つことを望んでいる。
なお、家事は問題なくこなせる模様。

評価はC。
愛は勝つ! で痛快なまでの俺TUEEE!な活躍を見せてくれる主人公が実に気持ちが良かったです。
単純一途で熱血系なキャラでもあるため、鬱々&ウダウダ悩む展開皆無でストレスも溜まりませんでしたし。
メインヒロインの蓬田織姫も彼につりあうような良い女の子であり、主役コンビの安定感は抜群。
この「どんな困難もこの二人なら乗り越えてくれる」感が当作品の最大の魅力といってよいでしょう。
実際、最終的には「俺たちの恋路を邪魔する奴はぶっ倒す!」で全部蹴散らしちゃいましたしね。
不満を挙げるとすれば、主人公以外のキャラにもやたらと存在感がありすぎたところでしょうか。
特にラスボスとか好き放題やった挙句、負けを認識しないまま、しかもある意味望みを叶えての退場と
主人公が勝った! という爽快感がイマイチだったんですよね。実はタイトルを意味するキャラでもありましたし。
興味のわかないサブカプ描写の多さといい、主人公&ヒロインの主役感を薄めすぎだったかな、と。
というか敵の恋愛に力入れるなら、報われないままだったサブヒロインをもうちょっとどうにかしてほしかった……