お兄様は、怪物(なぞ)を愛せる探偵ですか? ツカサ(ガガガ文庫)
ワケありの【兄×妹】バディが挑む、新感覚ミステリー。
大枠としては主人公が探偵役を務めるミステリーものになりますが、オカルト要素もあります。
人が仕組んだ事件にオカルト説が浮上し、その思念が束ねられて怪物として顕現する。
という設定なので、事件そのものはあくまで普通の人間の仕業であり、種も仕掛けもあるのですが。
とはいえ、推理とは関係のないところ異能バトルが発生したりするので、非現実感は十分濃かったり。
ラストは全ての始まりだった「災厄」に決着をつけ、探偵はまた新たな謎へエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインの夕緋が愛の告白済、背徳的な関係ではあるものの、結ばれるまではいかず終了。
主人公は人外の仕業と噂される事件の謎を解くことで、怪異を封じる力を持つ大学生の青年。
怪異を管理する混河家の一員で、幼馴染に起きた不可解な出来事の真相を求めている。
良く言えばクール、悪く言えば不愛想な性格で、あまり人とのコミュニケーションが得意ではない。
一人暮らしをしているが、生活能力皆無であり、毎日のように押しかける妹に実質生活を支えられている。
ヒロインは助手なブラコン妹。サブに気やすい女刑事、お淑やかなJC、世間知らずな幼女、聡明な幼馴染。
一番のお気に入りは事件を捜査する際の主人公の助手を務めるJKな妹、混河夕緋。
猫のような無邪気さと愛らしさを感じさせる、パッチリとした赤みを帯びた瞳と
生まれながらに色素の薄い髪が特徴的な、小顔でスタイルのよい美少女。
少し子供っぽいところこそあるものの、明るく人当たりの良い性格で、コミュ強。
混河家の中では主人公の唯一の味方を自認しており、彼のためならば傷つくことすら厭わない。
その正体は日光の下でも出歩ける「真祖」と呼ばれる上位種の吸血鬼。
評価はC。
奇妙な伝承が存在する村を舞台に殺人事件が起きたりと、一巻から早くも漂う濃厚な伝奇ミステリー感。
これだけ見ると話しの重さや暗さばかりが目立ちそうなものですが、オカルト部分の派手さが
適度にライトノベルらしさを演出しているので、読んでいて緊張感ばかりを覚えずに済みました。
キャラに関しては、落ち着いた雰囲気で淡々と推理を進めていく主人公が良い感じ。
彼の相棒である妹の夕緋の危うい感じを内包している可愛らしさもグッド。
本筋は大本の事件を完全解決し、周囲との和解も済ませて、と三巻完結という短さの割には読後感は文句なし。
あとがきで作者が語っていたように、もっと事件を経て妹が増えていくのは見たかったですが。