最強陰陽師の異世界転生記 小鈴危一(モンスター文庫)
歴代最強の陰陽師による異世界バトルファンタジーストーリー。
大枠としては異世界転生ものですね。主人公の前世が現代日本人ではなく、平安時代の陰陽師という点が特徴。
舞台となる異世界では魔法が主軸となっていますが、その力は陰陽術の足元にも及ばない上
主人公は知識が豊富で万能性も高いため、穴(戦闘面のみ)のない主人公最強ものとして存分に楽しめるかと。
意外に術の説明がしっかりしていて「ファンタジーだから」の一言で済まされていないのも好印象。
ラブコメ面は今のところ進展なし。フラグが立っているヒロインは複数いるようですが…
主人公は平安時代に歴代最強の陰陽師として称えられるも、謀略と裏切りによって追い詰められ
死に際に使用した転生の呪いによって異世界の伯爵家の三男として転生した陰陽師。
異世界で広く扱われている魔力がない代わりに、陰陽師としての知識、術、豊富な呪力を持つ。
前世の最期が最期ゆえに、人間不信気味で冷めたところがあるものの、温厚で落ち着きがある性格で
目をかけている人間には面倒見が良かったりと、決して情がないわけではないが、それゆえに謀略に弱い。
生前、強大すぎる力を恐れられ謀殺されたがゆえに、現世では目立たず、狡猾に幸せを掴み取ろうとしている。
前世では縁にあまり恵まれなかった(と本人は思っているが実際は結構モテていたし妻もいた)ため、女心に疎い。
ヒロインは心優しき奴隷、勝気な勇者、健気な管狐、クールな後輩、聡明な聖皇女。
七巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(七巻)においての評価はC。
主人公の転生前が平安時代の最強陰陽師ということで、対峙する敵を圧倒する無双の実力は勿論ですが
修羅場を潜ってきた経験が段違いなだけに、常に余裕たっぷりで隙が無いのが格好いいですね。
それでいて問題にならない程度に間の抜けたところも見せてくれるので親しみもわきますし。
この手の主人公は目立ちたくないとか言いながら、厄介事に首を突っ込む口だけ野郎になりがちですが
彼の場合はきちんと身の振り方を考えているのがグッド。なお、結局首を突っ込み目立っているのはご愛嬌。
一方、そんな彼の周囲を彩るヒロイン陣は自覚無自覚問わず色々と厄介な背景を持っているようですが
だからこそ、主人公が傍についていれば大丈夫という安心感があるので気軽にニヤニヤできます。
本筋は帝国に帰還するも、政争に巻き込まれるどころか皇帝に目をつけられてしまい…?