英雄失格者の魔獣グルメ 山夜みい(講談社ラノベ文庫)
少年と少女が紡ぐ、世界一美味しい英雄譚。
どんな魔獣も狩る、料理する、食べる、世はまさに大調理時代.。狩猟と調理の概念が融合した「猟理人」が
存在する世界での、バトル&料理をメインにした物語です。わかりやすくいえばジャンプ漫画の「ト〇コ」ですね。
食が軸のひとつになっているだけに、当然飯テロ要素もありますが、作中における食材の主役が現実には
存在しないファンタジー世界の魔獣ということで、文章だけでは美味しさが伝わりにくいのが難点。
あと、実家の面子を筆頭に主人公たちを嘲る奴らがクソ過ぎてフラストレーションがたまる展開が多いですが
それだけに、勝利によって彼らを見返し、名を轟かせていくところは爽快感抜群かと。
ラストは大舞台で勝利した二人は一時の別れを経験するも、再会し正式なバディとなるのだったエンド。
ラブコメ的には恋人にこそなってはいないものの、事実上メインヒロインのルーシーと両想いで終了。
主人公はかつて勇者の一族からも将来を嘱望されていたが、とある理由で失格者の烙印を押され
その後、ひょんなことから世界一の猟理人を目指す少女ルーシーのバディを務めることになった少年。
ぶっきらぼうで距離の詰め方が下手と、対人能力にやや難があるが、根は律儀でお人よし。
勇者が書いた奇書「誰にでも出来る勇者の魔獣調理術」が愛読書であり、お守りであり、心の支え。
魔食効果の付与と調理術式こそ使えないものの、調理技術と狩猟の腕は超一流。
狩猟において一番大切とされる観察眼を鍛えているため、見れば女性のスリーサイズがわかる。
ヒロインはツンデレな相棒、過保護な従妹。サブにお菓子好きな級友。
一番のお気に入りは依頼を受けた主人公とバディを組むことになった貴族令嬢、ルーシー・ハルクヴィル。
空色の瞳、艶のある白い肌、お日様のような金髪の巨乳美少女。スリーサイズは上から89・63・91。
気が強く負けず嫌い、短気で感情的になりやすい性格をしており、中々素直になれないツンデレだが
肝心なところでお礼が言える、対立する相手の意見の正しい部分を認めることができる。
自分の弱点と向き合い、それを克服しようと陰ながら努力できるなど、性根はまっすぐで料理に真摯。
魔力の制御ができないがゆえに周囲からは「暴姫(タイラント・クイーン)」と呼ばれている。
評価はC。
バトルと食が目を惹くこの作品ですが、もっとも重きが置かれているのはバディ要素。
主人公とメインヒロインのルーシーがお互いに欠けているものを補い、救い合って困難を打破し、高みを目指す。
バディものの王道とはまさにこれだ! と言いたくなるほどの迸る情熱と青春が眩しいです。
キャラに関しては、その欠点ゆえに不遇の人生を歩んできたにもかかわらず、努力と足掻きをやめず
その果てに圧倒的な力を身に着け、それでいて驕らない主人公が格好良い。
そんな彼の欠点を補い、心を救うバディのルーシーの良い意味でのツンデレっぷりもグッド。
本筋は友情・努力・勝利と王道の三本柱を過不足なく揃えたストーリー展開が気持ちよかったです。
あえて言うなら悪役に対するざまぁ描写が足りなかったことが物足りないところではありましたが…
一応話自体は続けられそうな感じではありますが、奇麗に一巻完結してるからなぁ。