君と一緒にごはんが食べたい 日日綴郎(講談社ラノベ文庫)
マッチョなラガーマンと華奢な美少女ピアニストのごはんにまつわる青春ストーリー。
大枠としては青春ラブコメですね。部活と恋愛という学生時代の青春における二大要素を上手く影響させあい
更にそこに男同士の友情要素が加わることで上質の青春物語へと仕上がっています。
ちなみに、作中において主人公がラグビー、ヒロインである瀬尾小春がピアノに力を入れていますが
話の主軸はあくまで恋物語なので知識がなくとも十分に楽しめるかと。ラグビーは簡単な競技説明がありますし。
あと、タイトル通り食事シーンが多く用意されていますが、ヒロインがメシマズなためメシテロ要素は薄め。
ラストは、小春との交流を経て成長を遂げ、仲間たちとともに花園への切符を手にした主人公。
時は流れ、大学生となった彼は留学先から帰国した小春と再会を果たし、一緒にごはんを食べるのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインの瀬尾小春と両想い(正式な告白はエピローグ後にしたと思われる)になって終了。
主人公は藤森高校ラグビー部の主将を務め、全国大会(花園)を目指している高校三年生の少年。
まっすぐで真面目、嘘がつけない堅物な性格で、それゆえに周りが見えなくなることもしばしばだが
一度目標を決めたら、脇目も振らずに猛進する強さの持ち主でもある。
自己中心的で我儘なところがあり、さらには口下手でもあるため、敵を作りやすい。
主将としては嫌われ役を買ってでも仲間には厳しくしてチーム力の底上げを図るタイプ。
ヒロインはメシマズなピアニスト、献身的なマネージャー。
一番のお気に入りは主人公とは気心の知れたラグビー部マネージャー、高峰美優。
猫のように大きな瞳が目立つきれいな顔の、スタイル抜群なポニーテール美少女。
感情的になりやすいところこそあるものの、世話焼きで快活、自分の気持ちに正直な性格で料理上手。
人当たりもよく誰に対しても分け隔てなく接し、マネージャーとしても献身的で有能なことから
整った容姿も合わさって、ラグビー部のマドンナにしてムードメーカーになっている。
反面、恋愛には決して積極的なタイプではない(現に主人公へ想いを告げるまでおよそ六年近くもかかっている)
評価はC。
ラノベの主人公には珍しい「部活一直線なゴリラ系マッチョなラガーマン」というキャラが目を惹きました。
少なくとも外見面では平凡というのがラノベ主人公のお約束なわけですが、この作品の場合はちゃんと主人公が
ゴリラ系マッチョであることが良い意味で活かされているのが良かったですね。
ヒロインである小春も、完璧に見えてメシマズという欠点があるのが愛嬌になっていて可愛かったですし
もう一人のヒロインである美優も、己の恋心と友情をサッパリと嫌味なく消化している姿が格好よかったです。
まあ、それだけに彼女のあからさまな負けヒロインムーブ一直線が不憫であり、不満なところでしたが…
本筋はこれぞ青春物語! と太鼓判を押したくなる、若々しく爽やかな作風が気持ちよかったの一言。
挫折からの復帰、そして成長。募っていく恋心などの描写が過不足なく一冊に収まっていたのも見事でしたし。