ダンジョン城下町運営記 ミミ(講談社ラノベ文庫)
再生屋と呼ばれた少年が、少女のために国を再生する物語。
大枠としては異世界召喚ものですが、メインはバトルや戦争ではなく、経済や政治といった内政です。
滅びてしまった国を経済に長けた主人公が再生していく、という話の構成になっているのですが
彼が召喚主にして命の恩人であるメインヒロイン・ミユを容赦なく使い倒す様が酷いけれども面白い。
いやまあ救うべき対象が破綻寸前である以上、使えるものを最大限利用するのは当然ではあるのですが…
一応、彼女の意思を尊重して、被害が大きくなるような非道外道な策は使っていないので無問題?
ラブコメ面は二人の運命のヒロインから好かれている主人公ですが、最終的には二人とも嫁にするのだろうか。
主人公は幾多の企業を再生させ、若くして財産を築くも、金に目がくらんだ友人や親戚に裏切られ
果ては父親に刺されてしまい絶望するも、亡国の姫・ミユによって異世界に召喚された高校生社長の少年。
物腰穏やかで理知的な性格。頭が回り、弁舌に優れているなど、再生屋としての腕前は優秀。
お金が原因で親戚、友人、そして父親すらも失ったことから、心の底で「愛されたい」と願っている。
ヒロインは誠実な王女、傾国の令嬢。
一番のお気に入りはふたつの覇権国家と接する位置に領地を持つ辺境伯領の令嬢、フィア・レ・ラント。
銀の長髪、アクアマリンに透き通った瞳の、十を少々過ぎた歳の頃の美少女。
微笑んだだけで貴族が八人くらい失神した等の逸話を持つほどの美貌の持ち主だが
その美少女っぷりが原因で、自国の多数の貴族が馬鹿を働き、傾国したくもないのにしてしまっている。
聡明で領地経営の才に長けており、幼くして領政を司っているが、領地と領民への愛は本物。
おまじないで鏡に映った運命の人である主人公に好意を抱いている。
現時点(一巻)においての評価はC。
タイトルの割にダンジョン要素が薄いのが気になるところですが、頭を使った内政ものとしては楽しめるかと。
テーマが「再生」なだけに、救いようのない悪人も登場しないので読後感も気持ちよいですしね。
ただし、金に目がくらんで召喚前の主人公を裏切ったクズ人間たちについてはスルーの方向で。
キャラに関しては、再生屋の異名に違わぬ辣腕っぷりを見せてくれる主人公が実に頼もしい。
良く言えば心優しく、悪く言えば甘さが目立つミユとは一見すると水と油ですが、恩人ということもあって
主人公が常に彼女を立てる(でも使い潰しはする)形になっているので良い関係に見えますし。
本筋は敵対していた軍務卿と和解することに成功し、さらなる政治と経済での戦いへ。