ちいさな君と、こえを遠くに ツカサ(講談社ラノベ文庫)
夢を諦めかけた少年と、夢に向かう少女たちの物語。
大枠としては教官ものですね。と言っても教えるのは戦闘や勉強ではなくボイストレーニングですが。
あと、メインヒロインの空が小学生なため年の差ラブコメに見えますが、同年代以上のヒロインも登場します。
夢破れた少年が夢見る少女と出会って交流を重ねていくうちに心を癒され、そして熱を取り戻していく。
まさに王道の青春物語といった感じで心が躍ります。嫌な人間も登場しないのでストレスなく読めますし。
あと、イラスト担当のしらたま氏の淡く優しいタッチの絵が作風に凄くマッチしているのがグッド。
ただ、小学生ヒロインたちのロリっぽさを引き立てすぎていて、人前で読むには少々ツライのが難点ですがw
ラストは大切な人を想いながら、少年と少女たちは新たな道を歩み出すのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのソラと実質的に両想い&付き合っているような状態になるも
他ヒロインズもまだまだ諦めない宣言をして、将来は未確定のまま終了。
主人公は大人気バンド「Eternal Red」でボーカルをつとめていたものの、 かつての声を失ってしまい、活動を休止。
遠くの地に転校し、ひとりの高校生として暮らそうとしたところで小学生の少女・空と出会った少年。
バンド時代は同年代の男子と比べてかなり小柄で小学生に間違われることもあるほどだった。
声も中性的で「奇跡の声」と評されていたが、第二次性徴が原因で声は別人のように低くなってしまう。
物腰穏やかで面倒見の良い性格だが、バンドをやっていただけあって、内に秘める情熱は人一倍。
昔、教育熱心な両親に半ば強制的に通わされた習い事のひとつであったこともあり、ピアノが弾ける。
ヒロインは声優志望の小五、野心家な小三、朗らかな級友、活発な小六、奥手な小六、奔放な先輩。
一番のお気に入りはボランティア委員として主人公と同じ場所を担当する小学六年生、東雲紫苑。
黒いゴシック系な服がトレードマークの美少女。
育ちが良いのか、物腰が大人びており、小学生とは思えぬ丁寧な喋り方をする。
真面目でプライドが高く、幼馴染みの美紗貴に対しての当たりは強いが、実は奥手で恥ずかしがり。
BLを嗜んでいる。
評価はC。
メインヒロインが小学生なのに露骨にロリ要素を推していないことを評価したい作品。
ロリ系のヒロインがメインの作品って、どうしても犯罪臭漂うイベントや挿絵ばかりというイメージが強いですが
この作品は純粋で未熟な小学生だからこそ主人公の心を動かせた、みたいな必然性があるのがグッド。
おませな小学生たちに振り回される主人公、くらいのシーンはありますが、それくらいは普通ですしね。
キャラに関しては、夢破れながらも少女たちとの交流を経て心を再燃させていく主人公の姿が熱かったです。
そんな彼を取り巻くヒロインたちも、それぞれの事情を抱えながらも前に進んでいく様が尊かったですし。
本筋は締めの形こそ「俺たちの未来への道はこれからだ」な打ち切りエンド風ではあったものの
しっかりとタイトルは回収されていますし、この作品はこの終わり方こそが一番美しいと納得できたので無問題。