いつも馬鹿にしてくる美少女たちと絶縁したら、
実は俺のことが大好きだったようだ。
   歩く魚(講談社ラノベ文庫)



絶縁からはじまるラブコメストーリー。
ツンデレはツンとデレのバランスが大事であり、ツンばかりが目立つと嫌気しか感じなくなる。
相手が認識できないデレはデレではない。という真理を教えてくれる作品です。
大枠としてはすれ違い系のラブコメものになると思われますが、女性陣が自業自得過ぎる…
少なくとも絶縁を言い渡した主人公に責められる理由はないですし。極端ではありますけども。
ただ、絶縁という当たりの強いことをやっておきながら、すぐに復縁するのはややガッカリというか
主人公がただの情緒不安定男にして単なる道化になってしまっているのが残念なところ。
ラブコメ面はヒロインたちがアプローチを本格化させるも、今のところ進展なし。

主人公は恋人との別れを切欠に吹っ切れ、恋人・後輩・推しと絶縁宣言した高校一年生の少年。
事故で他界した両親が名前に込めた想いもあり、常に笑顔を忘れず、相手を否定せず
気分良く過ごしてもらえるように必死に努力し、何か悪いことがあればいつも自分に責任を求める
心優しいお人よしとして生きていたが、そのせいで近しい女子達になめられがちで
その心を傷つける仕打ちに我慢の限界を超えた結果、利己的になると決意し、脱陰キャを果たした。

ヒロインは元恋人な幼馴染、人懐っこい後輩、男が苦手な推しメイド。
一番のお気に入りは行き過ぎた発言で好意を持っていた主人公を怒らせてしまった後輩、黒咲茜。
少々つり上がった目がキツい印象を与えがちだが、顔全体が整っているため
むしろ完成された雰囲気を演出している、金のインナーカラーが入った黒髪ボブの巨乳美少女。
無邪気で人懐っこい性格をしており、その美貌と抜群のスタイルに加え、基本的に誰にでも
分け隔てなく接することもあって、男子の友達は少ないものの、人気は高く憧れの的。
距離感が近いようで思いやりがあるタイプだが、主人公に対してはそれが空回ってしまった。
主人公と仲良くなった切欠は、同じバンドが好きだという理由で彼女から声をかけたから。

現時点(一巻)においての評価はD。
正直、登場人物全員の頭のネジが緩んでいるというか、展開の都合だけで動かされている感が強いです。
被害者側であるがゆえに一番まともであるはずの主人公ですら、お人よしが度を越していますし
また、そうであるがゆえに「じゃあ絶縁宣言なんか最初からするなよ」となるわけで…
ヒロイン側にいたっては、それぞれがわかったつもりになってエゴを押し付けているだけですし。
唯一擁護できるのは黒咲茜くらい? 謝罪一番手で主人公に考え直す切欠を与えたのも彼女でしたしね。
本筋は絶縁した美少女たちを許し、彼女たちと新たな関係をスタートさせた主人公ですが、さて。