陽キャになった俺の青春至上主義   持崎湯葉(GA文庫)



読めばきっと自由になれる、陰陽混合のネオ・アオハルコメディストーリー。
陽キャと陰キャ。この対照的な二つの存在に焦点を当てているドタバタ学園青春ラブコメですね。
小ネタが多く散りばめられていたり、登場キャラの個性がやたら尖っていたりとコミカル色がかなり濃いです。
特に、たまに登場する遊びまくってる感満載のイラストには抱腹絶倒間違いなしかと。
その一方で、思春期特有の悩みに苦しむこともあったりと、青春物語としてのテイストもバッチリ。
ラブコメ面は陽キャギャルを本命としつつも、陰キャヒロインに好かれる主人公ですが、さて。

主人公は努力と根性で高校デビューし、陽キャに囲まれた学校生活を送っている元陰キャの少年。
嘘は言わない主義だが、自分の中の正しさで動くタイプ。努力家で相手に合わせるのが上手い。
中学時代は無駄にプライドが高いクソ面倒くさ系の陰キャオタクだった。
陽キャとしてのロールモデルは自分によく声をかけてくれた中三の時のクラスメイト(聖人系陽キャ)で
彼のように誰にでも分け隔てなく接することができる、真にイケてる陽キャを志している。

ヒロインは恋愛脳ストーカー、徳の高いギャル、イキリオタク、メスガキ男の娘。
一番のお気に入りはちっちゃ可愛いイキリオタクなクラスメイト、宇民水乃。
クラスでトップの成績を誇る才女であることに加え、百四十センチ台の身長、小学生のように高い声。
と、スペックだけ見れば人気者になってもおかしくない美少女なのだが、可愛らしいサイズ感とは対照的に
目つきが悪く、ひたすらに不愛想、たまに話せば毒舌と触れるものはみな傷つけるイガイガ系陰キャ。
プライドの高さから、怒るとムキになって見え透いた嘘をついてしまいがち。
両親が共働きで小学生の頃から台所に立っていたため、料理には慣れている。
異能バトルや異世界もののような、男の子向けの作品を好むオタクで、アニメや漫画の話だとお喋りになるが
拘りの強さが災いして、好きな作品の話になるとたまに変なスイッチが入って超キレることも。

現時点(二巻)においての評価はC。
読めばきっと自由になれる。このキャッチコピーが正に的を射ている作品。
主人公を通して、陽キャと陰キャという概念がメッセージ性と共にしっかりと主張されているのが興味深い。
何より、陰陽が交わって和気藹々と過ごしている日常の様子は見ていて心が満たされます。
キャラに関しては、血の滲むような努力で陰キャから陽キャに生まれ変わった主人公が好感度抜群。
相手が陰キャであろうと優しくできたりと、人格自体が良好なので不快感を覚えませんし。
そんな彼を取り巻くヒロインたちもまた個性の塊なわけですが、それゆえに振り回される様はご愛嬌?
本筋は遊々に続き、カエラの心を救った主人公。次巻はヒロイン最後の一人である水乃回?