あなたの事が好きなわたしを推してくれますか?   恵比須清司(富士見ファンタジア文庫)



推しから逆に推されまくるラブコメストーリー。
アイドル、VTuber、コスプレイヤー。手が届かない、だからこそ「推し」となった存在が自分を認知してくれる。
それどころか、推しの正体は身近な人だった!? と、ここまでならばラノベではありがちな展開ですが
この作品はなんと推しが主人公のことを推すという更なる展開が用意されています。
勿論、物語開始時点の主人公は有名人などではなく、ただの登録者数一桁のゲーム配信者なのでもう大変。
一夜にしてバズって有名人の仲間入り、推しに囲まれる生活という幸運無双な展開が楽しめます。
ラブコメ面は現状恋愛よりも推しが優先というスタンスの主人公ですが、さて。

主人公は誰もが知るトップアイドルグループのメンバーにして推しでもある「ゆき」の配信番組での
推し発言により、突如バズらされてしまった登録者数一桁のゲーム配信者にして高校二年生の少年。
「推しは別次元の存在。だからこそ適切な距離感を保つべし」が信念。
成績も運動神経も容姿もパッとせず、クラス内でも浮きがちのぼっちだが、ゲームの腕前だけは自信あり。
陰キャではあるが意外とコミュ力は高く、自分がオタクであることを心から誇りに思っている。

ヒロインはクールなアイドル、幼馴染なVTuber、義妹なコスプレイヤー、愛が重いVTuber。
一番のお気に入りはSNSフォロワー数三十万人超えの大人気コスプレイヤーな二歳年下の義妹、天宮紗菜。
パッチリとした瞳に、人形のような整った顔立ちの小柄な美少女。
引っ込み思案&人見知りな性格で、いつもマイペースに平坦な口調で喋る。
主人公に対しては憎まれ口を叩くことが多いが、素直ではないだけで悪意は全然なく、むしろ大好き。
コスプレが趣味で、自身が小柄なこともあって衣装は可愛い系が多い。

現時点(二巻)においての評価はC。
推している存在に推される。現実ではまずありえない、夢のような展開だからこその面白さがある作品。
主人公のことを推しているヒロインは複数、当然彼女たちはお互いがライバルということになるわけですが…
前提条件として「同じ相手を推す同志」があるから、ギスギスした恋敵関係にならないのがいいですね。
まあ、急な環境変化の苦労を一身に受ける羽目になった主人公はご愁傷様ですが。
本筋は主人公にガチ恋しているVTuber・九印ラミアが発端となった騒動を落着(?)させ、次巻へ。