なぜかＳ級美女達の話題に俺があがる件　　　脇岡こなつ（角川スニーカー文庫）



地味系男子と《S級美女》の学園ハーレムラブコメストーリー。
学校では地味系男子として目立たない主人公が、美女として有名なヒロインたちに意図せず好かれてしまう。
これは学園ラブコメとしては王道のパターンですが、少し変わっているのは主人公側もヒロイン側も
お互いに相手のことを正確に認識していないという点。学内と学外で見た目が違う（変装している）ため
同一人物であると気づいていないのですね。まあ、だからこそ変に意識せずに交流できるわけですが…
とはいえ、すれ違いは当然解消されるものですし、主人公は早い段階でヒロインの内外を一致させるので
自分の正体がバレないように立ち回ろうとして、それが裏目に出まくる姿には苦笑するしかありません。
ラブコメ面は三人のＳ級美女にフラグが立ってしまった主人公ですが、さて。

主人公はひょんなことからＳ級美女たちに好かれ、探されることになってしまった地味な高校生の少年。
学校で目立つと碌なことがないから、という理由で学内ではボサボサッと目元まで覆われた前髪に
黒縁フレームの眼鏡、緩んだネクタイに着崩された制服と、根暗男子そのものを装っており
当然、人付き合いはあまりないのだが、当人はそれをあまり気にしてはいない。
温厚で気弱な性格であるがゆえに他者に強く出れないが、困っている人を見捨てられないお人よしでもある。
自分に自信がないせいか、かなりの鈍感で、興味ないことや関心ないことにはとことん無頓着。
中学時代（陸上部に所属していた）に何かしらあったらしく、現在家族とは疎遠で一人暮らしをしている。
ひっそりと少女漫画を収集をしており、それを読むのが趣味。

ヒロインは完璧主義な級友、ギャル気質な級友、クールな級友。
一番のお気に入りは主人公によって悪質なスカウトから助けられた「Ｓ級美女」の一人、姫川沙羅。
艶のある髪に、どことなく幼さを残しながらも確かに色香を漂わせている顔立ちの巨乳美少女。
代々続く守旧的で厳格な家系の生まれゆえに育ちが良く、立ち振る舞いは高貴で同級生にも敬語を使う。
真面目で律儀な性格で、勉学、スポーツ、武芸や音楽など全てにおいて優秀。料理もできる。
家族の期待に応えるため完璧主義で決して弱みを見せないが、クラスメイトからは遠巻きにされている。
親に見合いを進められているが、主人公との出会いを切欠に、心を揺るがせることに。
常夜灯がなければ寝ることができないことが秘密。苦手なものはレバーやコーヒーといった苦いもの。

現時点（三巻）においての評価はＣ。
普段は地味で存在感のない主人公だけど、ちゃんと身綺麗にすればイケメン！
ベタすぎて逆に今時珍しい設定ですが、行動もきちんとイケメンなのでモテるのは納得の一言。
いやまあラブコメらしく、そうはならんだろ的なご都合主義に大きく助けられている感はありますけども
彼自身の言動は間違いなく善性ですし、ヒロイン視点だと運命の人になってしまうのも致し方なし。
まあ、流石にヒロイン側が節穴すぎるというか、名前がわかっても即身バレしないのはどうかと思いますが。
本筋はS級美女最後の一人である小日向凛の悩みも解決し、四角関係待ったなしな状況ですが…？