この日、『偽りの勇者』である俺は『真の勇者』である彼をパーティから追放した
シノノメ公爵(HJ文庫)
「悪役」の宿命から解き放たれた影の英雄による救世譚。
大枠としては追放ものに対するアンチテーゼ的な作品でしょうか。この作品の主人公は追放される側ではなく
追放をする側であり、なおかつテンプレ通りの私利私欲で追放宣言をするような悪人でもない。
むしろ人格者であり、追放者のこともちゃんと親友だと思っているけれど、やむを得ない事情があって……
という設定になっています。こう見ると、全てを仕組んだ形になる女神が諸悪の根源過ぎである。
まあ、物語の本番は追放ざまぁを主人公が食らって、一から出直してからなのですが。
ラブコメ面は今のところ進展なし。メインヒロインのアイリスは主人公に惚れているようですが…
主人公は職業「偽りの勇者」を授かり、「真の勇者」の踏み台になる、という役割に従い親友をパーティから追放。
そして、覚醒したその親友によって討たれるも、かつて助けた少女アイリスによって命を救われた青年。
誠実で筋を通す性格だが、後先考えず勝手に突っ込む癖がある。
厚き友情、邪悪を許さない正義感、助けを求める人を見捨てられない優しさ、強大な敵に立ち向かう勇気。
それら全てを、己の使命のためならば涙を呑んで押し潰すことができる責任感の持ち主。
子供の頃、逃げた自分とは反対に魔物に立ち向かった幼馴染のユウを誰よりも勇者に相応しいと思っている。
ヒロインは天真爛漫な聖女。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(二巻)においての評価はC。
追放する側(主人公)もされる側(真の勇者)も全く悪くなく、悪は他にいることが明白だというのにも関わらず
勇者覚醒までは主人公が、その後は真の勇者が苦しんでばかりというのが理不尽すぎる…
主人公は縛られることなく活き活きとヒーロー活動に邁進できるようになったので結果オーライかもですが
世間では偽りの勇者として憎まれているから正体を隠して行動しないといけないというマイナス点がありますしね。
真の勇者にいたっては、親友を自らの手で殺した(と思っている)上、彼の真意を理解してしまったがゆえに
背負う苦しみがとんでもないことになっていて悲壮感が半端ないことになっていますし。
だからこそ、全てが明らかとなり、二人の勇者が報われる日が来てほしいと切に願うところなのですが。
本筋は魔王軍八戦将の一人を撃破した主人公ですが、依然として魔王軍の脅威は続いており…?