パーフェクト・スパイ   芦屋六月(電撃文庫)



危険なヒロインたちに翻弄される、スパイ・サスペンスストーリー。
凄腕のスパイである主人公が、部下として集められた新人スパイたちとともに任務に臨んでいく。
と、方向性としては「スパイ教室」にかなり近い感じの作品ですが、新人の中に敵性存在が混じっていたり
ハニトラの練習という名のイチャイチャがあったりでラブコメ成分が濃かったりと、差異はしっかりとしています。
題材の都合上、各キャラが抱える背景は重く暗いですが、作風自体は結構軽めでサクサク読めるかと。
ラブコメ面はヒロインたちが虎視眈々と主人公抹殺のためのハニトラを狙っているという状況ですが、さて。

主人公は世界中にその名を知られ、不死不敗の伝説をもつ日本出身十九歳の最強のスパイ。
実働部隊戦術・強襲班に所属しており、刀を使用し、敵の殲滅及び目標の暗殺任務についている。
不愛想かつ頑固、冷徹な性格で、素っ気なく近寄りがたい雰囲気を漂わせているが、意外に面倒見がよい。
ハニートラップに引っ掛かったせいで目の目で友人を殺された過去があり、そのため女が苦手。
昔は仲間たちとの友情を第一に考えるような、青臭く情熱的な人間だった。
自分の命が狙われていようとも、依頼以外での殺生はしない主義。

ヒロインは自信家なスパイ、素直なオペレーター、口数少ない暗殺者、インドア気質なハッカー、気弱なスパイ。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(一巻)においての評価はC。
シリアスパートと日常パートの切り替えが上手いため、メリハリが利いています。
ストーリーの展開も二転三転と状況変化が激しいのでワクワクしながら読み進めることができますしね。
キャラに関しては、まだ若さを残しながらも肩書に違わぬ実力を見せてくれる主人公が格好いい。
ヒロインたちもそれぞれ個性と役割が明確で覚えやすいですし、可愛らしさも十分。
本筋は組織壊滅の原因たる宿敵「ノーフェイス」に関わる一連の事件を一段落させた主人公。
しかし、結果として、ヒロインたちからは命を狙われ続けることになってしまい…?