男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと   端桜了(MF文庫J)



絶対に百合にはなり得ない新感覚の学園バトル&ラブコメストーリー。
大枠としては異世界(ゲーム世界)転生ものですね。舞台となるゲーム世界の元ネタは百合ゲーであり
主人公の転生先はどんなルートでも破滅確定のお邪魔キャラと誰得感が酷いです。
しかも、魔法が存在する。つまりはバトル前提の世界観だから何もしなければOKともいかないわけで…
というかこのゲームの製作陣は何故百合ゲーに男を出そうと思ったのか謎である。
ラブコメ面はメイドのスノウと偽の婚約関係を結んだ主人公ですが、意に反して次々とフラグが立っていき…?

主人公は百合カップルを交通事故から助けた結果、男子禁制のゲーム世界こと通称エスコに
どんなルートでも破滅確定のお邪魔キャラとして転生してしまった高校生の少年。
百合好きであり、そのモチベーションは世界最高峰であると自負していて百合のためなら死も厭わない。
いつも人を食ったような態度をとっており、図太く、自分に正直とマイペース極まりない性格をしている。
百合に全てを捧げているため、自身の色恋にはまったく興味がないが、異性を意識していないわけではない。
将来の夢は百合カップルが同居するマンションの観葉植物になって、毎日、水と百合をもらうこと。
原作主人公とヒロインたちの幸福な結末を目標として目指している。

ヒロインは天真爛漫なエルフ姫、マイペースなメイド、薄幸の義妹、クールな原作主人公、ツンツン天才娘。
尊大なチビ寮長。昇格候補にチョロお嬢様、ウザカワな師匠、押しの強い精霊、勝気な同級生、傲慢生徒会長なども。
一番のお気に入りはエスコにおける四人のヒロインのうちのひとりにして、主人公の義妹、三条黎。
真冬の凍てつく夜空を思わせる両の瞳、艶やかに伸びる黒髪の、凛とした美貌を有する美少女。
幼い頃から三条家の愛憎劇に巻き込まれ、何もわからない時から利用され続けてきたことから
期待して裏切られることに臆病になっており、本心とは裏腹なことしか口に出そうとしないが
それゆえに、命がけで自身を救ってくれた兄(主人公)のことを距離感バグり気味に慕うように。
レディースコミックで得た知識を兄相手に実践したりと、何気にドスケベ。

現時点(六巻)においての評価はC。
ゲームやラノベなどの創作世界で死を運命付けられているキャラに原作知識を持って転生してしまった場合
大抵はどの主人公も己の死を回避しようと足掻くのがテンプレです。そりゃ誰だって死にたくないですしね。
しかしこの作品の主人公は死を恐れません。何故なら百合を護らなければならないと誓っているから。
まあ、そんな意図とは裏腹に、己が心のままに動いた結果としてヒロインたちに好かれるという
超解釈違いが発生してしまうあたりは同情すべきなのか笑うべきなのか悩むところですが。
でもまあ作中で彼がなしたことを見ていれば、そりゃ執着されるわなと納得するしかないんですよね…
ヒロインたちのフルスロットルなアプローチは見ていてニヤニヤできますしね。攻略されてしまえ主人公。
本筋は主人公の命運と一人の少女の未来を賭けた「三寮戦」に見事勝利し、次巻。