ネットの『推し』とリアルの『推し』が隣に引っ越してきた 遥透子(オーバーラップ文庫)
VTuber・声優・幼馴染――隣の『推し』たちと始まる、半同棲ラブコメディ。
大枠としては同居(厳密には半同棲)もののラブコメですね。というか、主人公の幸運値が凄すぎである。
人気のVTuberとアイドル声優が隣に引っ越してくるというだけでもありえないくらいのラッキーなのに
二人ともが自分の推しだったとか、宝くじ一等賞当てるよりも難しいのでは…?
更に好意を向けてくる幼馴染との十年ぶりの再会まであるのだから恵まれすぎなんてものじゃない。
まあ、仲良くなる切欠が餌付けなあたりは生活感とほのぼの感(あとメシテロ要素)があってよいのですが。
ラブコメ面は同階住人三人が主人公の部屋に入り浸り、更に全員が恋心持ちというハーレム環境ですが、さて。
主人公は自身が住むマンションに「推し」たちが引っ越してきた大学三年生の青年。
理不尽な悪意を嫌い、困っている人を見ると自分の都合を無視してつい手を差し伸べてしまうお人よし。
女性には嘘をつかない主義。特に水色の下着を履いている女性には。
趣味は家事(一人暮らしなだけあって料理の腕前は中々)と「推し」事。
ヒロインは明るいVTuber、おっとり系アイドル声優、愛が重い幼馴染。
一番のお気に入りは同じ大学に通っていたことで、十年振りに再会した二つ下の幼馴染、水瀬真冬。
精巧な氷像を思わせる整った顔に黒髪ロングのクールビューティー。
入学早々男から声をかけられまくり、それらすべてを拒絶していることから「工学部の撃墜王」と呼ばれており
他にも「次期ミスコン優勝当確者」「氷の女王」など、多くの二つ名をほしいままにしている。非公式ファンクラブあり。
基本真顔なため、本気と冗談の区別がつきにくいところがあり、外では怜悧な雰囲気を纏っているため
近寄りがたいが、家では甘えん坊であり、主人公のことは「お兄ちゃん」呼び。
合鍵を使って勝手に主人公の部屋に忍び込んでベッドに半裸で潜りこんだりと、彼への愛はやや重い。
現時点(三巻)においての評価はC。
前述の通り、主人公がご都合主義という名の幸運に恵まれまくっていますが、そこに甘んじて調子乗らず
また、交流を重ねていくうちに推したちの華やかではない内面を見てしまい、憧れが崩れてしまっても
幻滅したりせず、親近感という新たな感情を得てヒロインたちに接する主人公が良い男すぎる。
ヒロイン三人にしてにも、それぞれの異なる距離感ゆえの掛け合いが面白いですし、対外的な顔と
主人公にだけ見せる顔という二面性、つまりはギャップが魅力を引き立てていてグッド。
本筋は旅行を経て、三人のヒロインと距離を更にどんどん縮めていく主人公。