落ちこぼれから始める白銀の英雄譚   鴨山兄助(オーバーラップ文庫)



英雄を超える「ヒーロー」に至る英雄譚。
大枠としては操獣者と呼ばれる魔法戦士が平和を守るため食獣魔法植物(ボーツ)と戦う異能バトルもの。
操獣者は魔獣と契約することで変身し、高い身体能力を得るわけですが、このシステムは浪漫ですね。
武器変形があったり、各人ごとに変身後の姿が違っていたりと。まんま特撮の変身ヒーローですし。
まあ、魔獣と契約することができない主人公が蔑まれていたりと闇が深い部分もあるようですが…
ラブコメ面は今のところ進展なし。

主人公は先代ヒーローであるエドガー・クロウリーを養父に持つ少年。
操獣者に必要な魔核を生まれつき持っておらず、セイラムシティでは「トラッシュ」と呼ばれ蔑まれている。
普段は魔武具の整備を行い生計を立てており、戦場ではデコイインクのみで変身し、自らの力でボーツと戦う。
やさぐれていて不愛想で気難しい人間嫌いの職人、という評判通りの人間性をしているが
悪を見過ごせない、周りが傷つくことを許せない、街を守ろうと身を投げ出せるヒーロー気質の持ち主。
自分のことをバカにされるのは我慢できるが、父親や周囲の人間にまで言及されるとキレる。
一人暮らしだが生活能力皆無で、幼馴染みのアリスの手助けがなければ生活が維持できない。
かつてドルオタを拗らせ、私欲に走った結果、世界に録音技術を産み落としている。

ヒロインは真っすぐなリーダー、クールな幼馴染。サブに元気印なボクっ娘、ガンナーなお嬢様。
一番のお気に入りは治療を行う救護術士の幼馴染、アリス・ダンセイニ。
身長146センチ、少しウェーブのかかった銀髪と金眼が特徴的なスレンダー(胸は絶壁)美少女。
いつも無表情で口調も淡々としていてマイペースな性格だが、主人公には大胆な言動を見せることも。
常に契約魔獣である緑色のウサギ型魔獣・カーバンクルのロキを連れている。
大好物はニシンサンド(劇物)。特技はナイフ投げ。

現時点(二巻)においての評価はC。
傷つき、倒れても、立ち上がって仲間と共に戦う。ヒーローとはどんな存在なのかを魂に問う作品。
正義、友情、愛、勇気、信念、不屈、そして勝利。とにかくヒーローらしい要素と熱い展開が盛りだくさんです。
キャラに関しては、鬱屈としたものを抱えつつも夢を諦められず身を削って世界を守り続ける主人公。
心の赴くがままに目に見える、手が届く範囲の全てを守ろうとするメインヒロインのフレイア。
と、対照的ながらもそれぞれ王道のヒーロー像を見せてくれる主役コンビが格好良く、見ていて気持ちよい。
彼らを支える仲間たちも頼もしいですし、決してヒーローが孤独ではないと示してくれるのは嬉しいところ。
本筋は闇の組織の一員によって引き起こされていた港町での幽霊船騒動を解決し、一行は再びホームへ。