スペル&ライフズ   十利ハレ(オーバーラップ文庫)



異能と頭脳、そして恋人。切り札は―――その全て。カード×頭脳×バトルファンタジー。
大枠としては人工の孤島である色藤島を舞台にしたカードゲーム風異能バトルものですね。
しもべとなるクリーチャーを召喚する「ライフ」と、様々な異能を発揮する「スペル」。その二種類のカードを操り戦う。
というのがこの作品におけるバトルの基本となっています。要するにリアル遊〇王ですな。
カードにはレア度が存在しており、当然レア度が高いほど強力なわけですが、勝敗は組み合わせや相性次第と
プレイヤーの駆け引きが重要になっているのがいかにもカードバトルらしくて面白いですね。
五大竜、黄道十二宮、運命シリーズ等、カードの種類からして実に厨二心を刺激してくれますし。
ラブコメ面はメインヒロインのミラティアが文字通りの「恋人」であることは揺るがないようですが、さて。

主人公は行方不明である自身の妹、桐谷凜音を捜し続けている高校二年生のプレイヤー。
過去、プレイヤーに特殊なスキルを植え付ける実験を行う秘密施設で、妹と共に被験者として生活していた。
不愛想でぶっきらぼう、捻くれものな性格だが、不器用な優しさの持ち主でもある。
色恋を意識しないわけではないが、理性は強い。弱点は乗り物に弱いこと。

ヒロインはマイペースな自称恋人、勝気な不正渡航娘、快楽主義な旧友、忠義厚き狐娘。
サブ(昇格候補?)に妖艶な女帝うあヤンデレな妹なども。
三巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(三巻)においての評価はC。
異能バトルと銘打たれてはいても、カードバトルであるがゆえに様々なルールに縛られている。
というのが頭脳バトルの色を濃くしていて読みごたえがありますね。読書カロリーが高いとも言えますが。
それだけに主人公の持つスキルについては少しモヤるかも? 一部とはいえルール無視できるわけですし。
そこは敵側も大概ですが。あと、それとは別に大きなマイナス点として、イラストが作風とマッチしていない感が…
媒体が文字メインのラノベである以上、挿絵で魔法や召喚獣を魅せることができていないのは残念の一言。
主人公の相手の裏をかく戦いっぷりが爽快なだけに、片手落ちと言えるでしょう。
本筋は遂に探し求めていた妹と再会するも、思惑がすれ違ってしまう主人公。