コミュ力向上のために言語スキルをマスターしたら、
引く手あまたの英雄になりました
   鈴木竜一(富士見ファンタジア文庫)



知恵とコミュ力で人生逆転していく言語マスターののんびりサクセスファンタジーストーリー。
大枠としては、ファンタジー世界を舞台にした、チート能力保有者である主人公による成り上がりものですね。
無能として虐げられていた主人公がチート能力に目覚めたことを切欠に人生逆転!
彼を侮り、虐げていた者たちは後に報いを受けることに。と、ざまぁの王道を行くであろう構成になっています。
しかし「話術向上」「モンスターの言語習得」「他人の嘘看破」「魔力の詠唱吸収」とか効果が便利すぎである。
まあ、無双ができるタイプの能力ではないので、バトルにおいては苦戦も結構あるのですが。
ラブコメ面は今のところ進展なし。フラグが立っているヒロインはいるようですが…

主人公は魔力がないことで虐げられていたが、十四歳の時に「言語スキル」を獲得して人生が一変した少年。
真面目でお人よし、努力家な性格をしており、劣悪な家庭環境で育っても曲がらない善性の持ち主。
幼い頃から両親からは無関心、優れた才能を持つ弟と妹のふたりと比べられ、周囲からの視線に恐怖し
言語スキルを得るまではすっかり誰とも話せない対人恐怖症になってしまっていた。
読書が好きで、家でもよく本を読んでいる。

ヒロインは読書好きな令嬢、向こう見ずな剣士、無口なエルフ。
一番のお気に入りは森で捨てられ、モンスターと暮らしていたハーフエルフ、ソフィ。
大きな茶色の瞳に銀髪、スッと横に伸びた長い耳が特徴的な美少女。
ずっとモンスターたちと暮らしていたがゆえに、主人公と出会うまでは言葉や常識、羞恥心を知らなかった。
学習意欲旺盛で働き者、そして素直な性格だが、それゆえに言動がストレートになりすぎるところも。

現時点(一巻)においての評価はC。
大まかなストーリー展開はよくある成り上がり&ざまぁものっぽいですが、主人公が棚ぼたの力に頼り切りではなく
スキルを得る前から努力をして剣の腕を磨いていたりと、腐らない向上心があるのが好印象。
だからこそ、そんな彼を虐げていた家族たちのクソっぷりが際立つわけですが…
その一方で、ヒロインたちを筆頭に、彼の味方となる者たちは良い人ばかりなのが救いでしょうか。
あと、主人公のスキルが戦闘面よりもコミュ力面で活躍することが多いのが中々に新鮮で面白いですね。
本筋は言語スキルを得たことで他者と交流できるようになり、自信をつけた主人公。
次巻からは再び学園生活がはじまることになるようですが、学園には性格の悪い弟や妹がいるわけで…?