貴族令嬢。俺にだけなつく 夏乃実(富士見ファンタジア文庫)
麗しく、品があり、不意に甘えてくる令嬢たちとの甘々学園ラブコメストーリー。
大枠としては異世界転生ものですね。中世ヨーロッパ風の世界観ながら、魔法は存在せず
敵対的なモンスターなども存在していない平和な世界となっているため、物騒なイベントは発生しません。
更には、貴族ゆえの不快な言動を見せるキャラ(一番そうなのが本来の身体の持ち主)も少ないため
ストーリーの進行においては山も谷もないのですが、その分ゆったりと読み進めることができます。
ラブコメ面は三人のヒロインを恋人にした主人公。更に増えそうな気配もあり、ハーレムエンドは確定?
主人公は事故死した後、侯爵家の一人息子の少年(十八歳)へと転生した社畜の青年。
元々の肉体の持ち主は位の高い侯爵家の跡継ぎであることと、反抗してくるような相手がいないにも
等しいことで天狗になり、高圧的な態度をとり続けていたため、周囲からは「傲慢で性悪な男」と噂されている。
転生した彼は精神が現代日本人であるため、現代人として当然の振る舞いを心掛け、身分差も気にせず
周りに優しく振舞い、迷惑をかけないように静かに過ごし、悪い噂の沈静化を図ることに。
温厚で謙虚、お人好しな性格をしており、現代日本基準で常識的。だが、それゆえに苦労人気質。
考え方は元社会人らしく達観しているが、同時に人の親切を疑うような人間にはなりたくないとも考えている。
色恋には基本的に鈍感で、意図せずに女の子を勘違いさせるような言動をとることも。
ヒロインは読書家な令嬢、ツンデレな令嬢、健気な侍女、猫被りな歌姫。
一番のお気に入りは本食いの才女と呼ばれる男爵家三女、ルーナ・ペレンメル。
サイドテールに結んだ薄青の髪に、大層眠そうな金の瞳が特徴の美少女。
自分の時間を大事にし、誰の誘いも断る(相手が爵位上位の貴族であっても同様)ことで有名。
常に凛とし、抑揚のない無機質な声で喋り、無表情でいるため、内心を読み取りにくいが
感情が希薄というわけではなく、他者を思いやる優しい心や本への愛、羞恥心などはしっかりと持っている。
読書を優先する生活であったがゆえに、現実の色恋に対し純真なところがあり、貞操観念が高い。
聡明な頭脳の持ち主で、特例で図書室登校が認められている。
体は資本。そしてその体を作るからという理由で料理に興味を持った結果、料理ができるようになった。
現時点(四巻)においての評価はC。
転生前の態度が酷すぎたがゆえに、転生後の真反対になった振る舞いによって周囲の好感度が上がりまくる。
という、当人に自覚のないギャップ効果を最大限に活かした正のスパイラルにニヤニヤできます。
これも一種の現代知識(というか感覚や常識)チートと言えるのかも? 主人公当人の気質も大きいですが。
というか本当、この主人公「良い人」なんですよね。だからこそ前世では社畜だったのかも。
彼と関わるヒロインたちも、鼻につく部分がなく、純で心優しい面子ばかりですし、優しい世界にほっこり。
本筋は将来のことを考えつつ恋人たちとの仲を深めていく主人公ですが、さて。