ラブコメ圏外   内堀優一(HJ文庫)



普通の高校生デビューを目論む主人公とヒロインたちのドタバタラブコメディ。
とりあえずラブコメ発生=普通の高校生という考え方は明らかにおかしいと思います。
メインキャラたちが基本的に二次元脳な上に、まともなツッコミ不在過ぎてボケ倒し展開。
この常時ハイテンションなノリについていけるかでこの作品を楽しめるかが決まるかも。
大きな事件が起こるわけでもなく、延々とボケ会話が続くだけの話と言っても過言ではないですしね。

主人公は普通の高校生としてデビューすることを目論んでいる少年。
両親がアニメやゲームのオタクであり、幼少期から彼らに英才教育を施されてきたオタクエリート。
しかし当人はオタクを極めることができないと思いこんでしまい
高校からは普通人になることを誓い、努力を開始する。
が、意気込みとは裏腹に、彼のオタク脳が導き出す「普通」は明らかに異常なものばかりだったりする。
なお、普通であるのはあくまで学校の中の話であり、家では普通にオタク。
別にオタクである自身を恥じてはいないし、オタクな家族との仲も良好。
基本的に面倒見の良い性格であり、自分の事を二の次にして動くことができるタイプ。

ヒロインは元毒舌子役声優、博多弁転校生。
あとはフェアリーな先生、生徒会長、クラス委員長にブラコン実妹がヒロイン候補かな?
一番のお気に入りは謎多き担任教師、七浜小夏。
消え入りそうな希薄な存在感。小動物のような愛らしさ。必要最低限の言葉しか発しない寡黙さ。
それらの要素を複合した結果、生徒たちからは「フェアリー」と呼ばれている。
その保護欲をそそる風貌から、彼女の授業に対する生徒の真剣さと協力度は凄いことになっていたり。
色々と謎が多い存在であり、何故か人気のない宿直室に住み着いていたりする。
自分の意思で気配が消せたり、ノリがよかったりと意外な一面も。

現時点(一巻)においての評価はC。
登場キャラのバカさ加減が絶妙なバランスの作品だと思います。
正直、頭おかしいんじゃね?と突っ込みたくなるところを全体的な雰囲気で中和しているというか。
この作品だからこそこのノリは許されているというか。
あとはいわゆる「嫌な奴」がいないのがいいですね。
この手の学園ラブコメものは、どうしても嫉妬心を見せて騒ぐモブ男子がいるものですが
今作の場合、むしろ応援したり畏怖を抱いたりしてますし。
皆良い奴らです。単にバカで能天気なだけじゃね?という説もありますが。
しかしこの作品、最終的にどう着地するんだろうか…