現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!
                                              しば犬部隊(オーバーラップ文庫)



竜の寵愛を受ける強欲冒険者の、異世界ファンタジー活劇。
大枠としては異世界転生ものですね。特徴は転生先である異世界がオープンワールド風であること。
そして、転生前の主人公がダンジョンが存在する現代地球で上級探索者として名を馳せていたことですね。
上級探索者として培った技能、経験、そして異能を駆使し、思うがままに生きる彼の生き様に憧れます。
骨太に、力強く展開していくストーリー。これもひとつの王道冒険物語といえるでしょう。
ラブコメ面は最強種である竜から求婚され、それを断るという暴挙をかました主人公ですが、さて。

主人公は現代ダンジョンが存在する世界にて、上級探索者として名を馳せ、活躍していたものの
ある事件に巻き込まれ死亡。その後、オープンワールドのような異世界で目を覚ました青年。
誰かに何かを与えられることを是とせず、辛苦すらも我が物とする強欲さの持ち主。
善悪の区別はつくが、感性が考え方が少し常識とは乖離しており、そしてそれを自覚している。
理性と狂気がなんの齟齬もなく同時に存在していて、それゆえにスイッチの切り替えが激しい。
やりたいことをやる、欲しいものを手に入れようと努力する。自分の願いに正直に生きる、自分の欲を裏切らない。
何一つやりたいことも欲しいものも妥協しない、というたったひとつのルールを己の人生に課している。
嫌悪するのは強く、その強さを振りかざすタイプ。
趣味は読書、ゲーム、テラリウム、キャンプ、サウナ、釣り、自炊等。夢は湖のほとりに家を建てること。
子供の頃、娯楽に触れることができなかったため、歳をとったあとに空想やファンタジーに触れて拗らせたオタク。

ヒロインは尊大な竜。他にも昇格しそうな女性キャラがチラホラと。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(二巻)においての評価はC。
ハーレム、スローライフ、空気を読んで行動する、命の尊重、権力者への警戒、異性には優しく。
ラノベ主人公の大半が心がけ、あるいは望むこれらのことを「そんなの全部知ったことか!」とばかりに目を向けず
ただただ己の心と欲望に素直に生き、すべては己で決めるという強欲を見せる主人公が爽快感抜群。
そもそも主人公はムカつく奴を迷いなく殺すくらいはしますが、別にガチの悪人ってわけではないですしね。
恩人や気を許した相手には優しく、己を慕ってくるヒロインにはなんだかんだで甘いですし。
まあ「えっ、そこ無視しちゃっていいの!?」みたいな、読者すら無視する行動をとるところは良し悪しですが。
本筋は相棒と再会し、冒険者生活をスタートさせたかと思いきや厄介な各勢力に目を付けられることになり…?