貞操逆転世界の童貞辺境領主騎士   道造(オーバーラップ文庫)



貞操が逆転した世界で「誉れ」を貫く男騎士の英雄戦記。
大枠としてはタイトル通り、男女の貞操が逆転した異世界での戦記ものですね。戦争シーンは多くないですが。
貞操逆転世界ということで、ヒロイン側の性的アピール&肉食っぷりがかなり過激になっており
観念が逆転しているがゆえに女性らしい羞恥心が薄いため、あまりエロさは感じないのが痛し痒しなところ。
ヒロインの大半が主人公の貞操を狙っていますが、肉欲が前面に出過ぎていますし…
戦闘&戦争パートは殺伐としていていかにも戦記といったシリアスさがあるんですけどね。
ラブコメ面は第二王女が婚約者となり、更に二年の童貞続行が決定してしまった主人公ですが、さて。

主人公は現代日本から転生し、その世界では珍しい男の騎士として育てられた辺境領主の青年。
領民300名足らずの村「ポリドロ」を所領する封建領主騎士で、2mを越える背丈と筋骨隆々な肉体を持つ。
戦場において感情のままに荒れ狂うことから「憤怒の騎士」と吟遊詩人に謳われているが
真実は怒りではなく、勃起が痛くて顔を赤く染めていただけだったりする。
物心ついた五歳の頃から、自身にこの世界で生きるための全てを、自分の命を削りながら与えてくれた
異世界での母を心から慕っており、彼女への侮辱は何人たりとも許さない。
彼に好意を抱く者たちからは、誇り高く貞淑、朴訥で真面目な太陽のような男と思われているが
実のところ、義理堅さや領地領民への愛こそあれど、中身は結構打算的で性欲旺盛。
領民の16〜32歳の美女を集めてハーレムを築くのが夢。

ヒロインは苦労人な第二王女、聡明な女王、凶眼の第一王女、自由人な公爵、扇動家な親衛隊長、冷血女王。
四巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(四巻)においての評価はC。
エロ要素が目立つようで、実のところは骨太な漢の物語といった雰囲気が強い作品。
己の騎士道を、誉れを貫き、その言動と漢の背中でヒロインたちを魅了する主人公の姿が格好いいです。
まあ、普段はヒロインたちの艶姿に股間を痛める日々を送っているため、そこは不憫なのですけども。
勘違い要素も多分に含まれていますしね。そこは自業自得ではあるのですが…
そも、メインヒロインであるヴァリエール以外のヒロイン全員が下世話という酷さですからねぇ。
誉れを貫く主人公と王道の成長を重ねていくヴァリエールが逆に異端にすら思えてくる…
本筋は王配暗殺事件の悲しき真実を暴き、女王の気を晴らすことに成功した主人公。次巻はようやく領地に帰還?