俺にトラウマを与えた女子達がチラチラ見てくるけど、残念ですが手遅れです
                                             御堂ユラギ(オーバーラップ文庫)



傷つきすぎて好意を受け止められなくなった少年と、そんな彼を傷つけてしまった女性達による
手遅れから始まる全く始まらない勘違いラブコメストーリー。
大枠としては学園ラブコメですね。物語的には主人公と同等程度にヒロインたちの心情にも重点が置かれており
ヒロインになれなかった女の子達が後悔を乗り越えて、もう一度ヒロインに返り咲くために頑張る。
という、ラブコメ以前であり、マイナスからゼロへと至る話がメインになっています。
勿論、主人公自身も十分に目立ってはいるのですが、彼に関しては正直もう放っておいてやれよ…
別にそのままでもいいだろ、と言いたくなるのがツライところ。彼自身は何一つ悪い点がないですからね。
ラブコメ面は複数の美少女&美人から好意を寄せられまくる主人公ですが、未だ恋を思い出せず…

主人公は豊富な女性関連のトラウマから感情がぶっ壊れている高校一年生の少年。
感情がぶっ壊れているがゆえの最強のメンタルで飄々と突飛な言動をしてしまいがちだが
その性根は昔から善性であり、他者を助けるために自分が傷つくことを厭わない。
自己肯定感が極端に低く、自分のことを女性(家族含む)から嫌われる体質だと思っている。
好意も悪意も持っておらず、人からどう見られるのか、どう思われるのかにまるで関心がなく
また、姉のご機嫌伺いを続けてきたがゆえに観察眼に優れているが、自身に向けられる好意には働かない。
中学の頃はバスケ部に所属していて、ポイントガードとしてトップクラスの選手だった。

ヒロインは元ツンデレ幼馴染、快活な同級生、拗らせ系な姉、息子溺愛母、甘やかしご近所さん、女神な先輩。
正義感の強い生徒会長、甥溺叔母、堅物な生活指導教師、加害者JD、恩人JD。他にも昇格候補多数。
五巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(五巻)においての評価はC。
主人公の女運の悪さが悲惨すぎて、そりゃぶっ壊れちゃうよねと納得しかないです。
基本的にヒロイン陣には悪意自体はないケースが多く、間の悪さや勘違いが原因で拗れているのですが
それでも自業自得と言えばそれまでですし、何よりも被害者である主人公からすれば…
と考えると、もういっそ有罪ヒロインたちは救われないままでいいのではなかろうか。
とさえ思えてしまうのが怖いところ。色恋方面は無罪ヒロインとくっつけばいいだけですし。
まあ、肝心の主人公が心が壊れているとはいえ性根は善人なので結局は関わりを持ってしまうのですが。
ヒロイン視点も多く用意されているので、読者主観でも徐々に絆されてしまいますしね。
本筋は腹違いの義妹の家族仲を修復し、二学期開始。そして次巻は体育祭?