一人暮らしを始めたら、姉の友人たちが家に泊まりに来るようになった
                                             友橋かめつ(オーバーラップ文庫)



年上のお姉さんに溺愛されまくるイチャイチャラブコメストーリー。
ラブコメにおいて、複数人いるヒロインを作中の環境やテーマに沿って「お嬢様」「妹」「幼馴染」などの
同一属性で揃えることは珍しくないですが、この作品の「姉の友人」というのは目新しいですね。
彼女たちは主人公の一つ上の姉の友人なので自動的に「先輩」と「年上」属性も持っているわけですが
そこに「姉の友人」という要素が加わることで、初期からの距離感の近さに説得力が生まれるのが上手い。
ラブコメ面は年上美少女四人が一人暮らしの主人公の部屋に入り浸りまくりと、ハーレム環境ですが
現状、彼女たちからの認識は弟やペットに近い模様。一人、フラグが立った感はありますが…

主人公は高校入学を機に、自立を目指して一人暮らしを始めるも、姉の友人たちに甘やかされて
中々上手くいかない日々を送ることになった高校一年生の少年。
真面目で礼儀正しく、負けず嫌いで努力家な性格で、こうと決めたことには押しが強く頑固。
顔立ちが中性的で背が低い、という外見をしているため、母性を掻き立てられる存在として
昔から年上の女性によく可愛がられているが、当の本人は頼られる人になりたいと考えており
困っている人がいれば、自分より年上の勝ち目のない相手にも後先考えずに突っ込んでいく勇気の持ち主。

ヒロインは人当たりの良い先輩、クールな先輩、後輩想いな先輩、自己肯定感が高い先輩。
一番のお気に入りは主人公の姉の友人にして料理研究部部長を務めている料理上手な先輩、白瀬奏。
色素の薄い艶やかな髪に人形みたいに整った目鼻立ち、抜群のスタイルの、雪の妖精のような美少女。
口調に抑揚こそないものの、相手が年下の主人公であってもいつも丁寧語で喋っている。
お淑やかで物静かな性格をしており、男性が苦手で潔癖症だが、好きなものに対する愛は重め。
主人公のことがお気に入りで、彼には滅茶苦茶甘いどころか裸エプロン姿を見せても全く気にしない。

現時点(二巻)においての評価はC。
一人暮らしというのは「自分一人の空間」を継続的に利用できるということが最大のメリットです。
自立心も養われますしね。実際、この作品の主人公はそれを理由に一人暮らしを始めていますし。
しかるに、タイトルにもあるように、姉の友人という名のヒロインたちが泊まりに来るという環境は
大前提であった一人暮らしの意義そのものが脅かされることに他ならないわけで…
では、主人公はひたすらに不幸で不憫なのか? と問われればそれは否としか言いようがないのがこの作品。
年上の美少女たちに甘やかされ、からかわれ、更には裸を見ることすら平然と許される。
……羨ましいなんてレベルじゃないんですが。いや、客観的にはおねショタでしかないんですけども。
まあ、主人公が年上キラーすぎるからなぁ。そりゃこんな男の子がいたら母性本能くすぐられますわな。
それでいて決めるべき場面では主人公らしく格好良いところを見せてくれるのだからズルい。
本筋は姉の友人たちに囲まれて騒がしい日々を過ごす主人公ですが、関係に変化も起き始め…?