盟約のリヴァイアサン 丈月城(MF文庫J)
ドラゴンの舞う世界で、少年が魔女と共に戦う現代バトルファンタジー。
空を翔るドラゴンが敵、ということで物語のスケールの大きさとバトル描写の派手さは桁外れの一言。
設定もかなり細部まで練られており、重厚な世界観を感じさせてくれますしね。
ラストは宿命の対決に勝利した少年は次なる戦いに備え未知の世界へ旅立ちを決意するのだったエンド。
ラブコメ的には優等生な恋人と竜王な嫁をダブルヒロインとしつつ、他ヒロインも各自の立ち位置で虎視眈々。
しかし、メインヒロインであるアーシャだけは最後まで残念ヒロインを脱せないまま終了。
主人公は幼馴染の要請によって、三年ぶりに故郷に帰ってきた少年。
幼少期より、父に連れられて世界を巡ってきており、父が亡くなってからも仕事(主にトレジャーハンター)を
引き継いで世界を転々としていたため、現実&個人主義者で年齢の割に落ち着きがある。
あと、数々の修羅場を乗り越えてきた経験から、腹黒で神経が図太く、大雑把なところも。
普段は飄々とした表情と物言いをし、面倒くさがりで人間関係を煩わしいと思っていたりする。
空気を読んだ上で気にせず好きに振舞うという、感受性ではなく社交性に問題があるタイプ。
草食系男子に見えて、実はかなりのムッツリスケベ。
ヒロインは大喰らいな幼馴染、天然優等生なお嬢様、天使な妹分、腹黒仲間な同僚、純真な竜王。
一番のお気に入りは天使のような妹系後輩魔女、白坂羽純。
清純無垢な心の持ち主で、大人しく穏やかで素直で健気で裏表がなく、その上、よく気がつく頑張りやさん。
また、好奇心旺盛で冒険物やアウトドア系のことが好きであり、更に見た目の儚げな印象に反して
結構アクティブな一面も持っていたりする。なお、身体は弱いが胸の発育は良好な模様。
主人公に対しては兄のような思慕を抱いていたが、六巻で遂に嫉妬を覚え、恋を自覚した。
評価はB。
ちょこちょこ入る薀蓄や造語説明、主人公の理屈っぽさがスピード感を落としている印象でしたが
その分シナリオ進行は丁寧なので、一転二転する話の動きについていきやすいのがよかったですね。
キャラに関しては、仁村有志さんの挿絵効果がプラスされたヒロインたちの可愛らしさは文句なく抜群でしたし
主人公も、十代の少年らしからぬ落ち着きとプロ意識があるがゆえの安定感があって良い感じでした。
反面、その完成度ゆえに、バトルにおける熱さや盛り上がりに欠ける面も少なからずあるのが難点でしたが。
まあ、ラストバトルのスケール感と決着の決め手がラスボスへのキスというインパクトは凄かったですけども。
本筋は物語そのものの区切りはきちんとついていたため消化不良感はほどんど感じませんでしたが
倒すべき敵が複数残っていることをはじめとして、設定の底を見ないまま終わってしまったのが残念なところ。
ラブコメ面も完全に決着したとは言い難い感じのオチでしたし。一人不憫すぎる娘もいますし!w