怪物中毒 三河ごーすと(電撃文庫)
真贋入り乱れる街で闘い続ける少年たちの、過剰摂取禁物のオーバードーズ・アクションストーリー。
大枠としては現代日本を舞台にした異能、というよりは人外(異形)バトルものですね。
物語の中心となる「仮面舞踏街」にいる人間は「怪物サプリ」を飲んでカジュアルに獣人に変身し
犯罪上等で好き放題やらかしている、という物騒極まりない場所なので、荒事が起きるのはもう必然ですし
設定のダーク&バイオレンスさに違わず、作中では簡単に、そして容赦なく人が死ぬわけで。
本作はそんな街の中で起きる事件の解決に奔走する主人公と仲間たちの姿が描かれています。
ラストは一連の事件の黒幕を撃退し、そしてはみ出し者の楽園は新たに生まれ、変わっていくのだったエンド。
ラブコメ面は進展がないまま終了。メインヒロインの柿葉蛍とキス(人命救助)はしましたけども。
主人公は街の掃除屋として害獣駆除を請け負っている高校二年生の少年吸血鬼(仮)。
7対3の割合で黒髪と白髪に分かれ、特殊な左右非対称になっている髪が特徴のイケメンで
スラリと長い脚と小顔のバランスが、成長期の少年らしい恰好良さと、大人びた怜悧な雰囲気を両立させている。
良く言えばクール、悪く言えばぶっきらぼうで世間体を気にしない性格の陰キャ。
小学校中退という学歴のため、知識は欠けているが知恵はあり、頭の回転も速い。
死んだ妹のため、誰かの幸せを守るために普通になりたいという願いを持っている。
ヒロインは才色兼備な優等生、勝気な元陸上娘。
特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
評価はC。
グロさはそこまでではないものの、結構ハードな展開が多いため読み味は重め。
その分、少しズレている主人公やボケワンコな相棒といった主要キャラの癒し要素が引き立っており
加えて、決めるべき場面で見せてくれる格好良さが熱く、そして輝いている印象でした。
ヒロインたちも良い意味で尖った個性があり、華やかさと確固たる存在感を発揮していましたしね。
しかし完全監視社会とかクッソ生きにくそうな世界観である。そりゃ仮面舞踏街は必要だわ。
本筋は一連の事件こそ一段落しての完結ではあるものの、黒幕は取り逃がし、背後の組織は健在。
と、典型的な打ち切り(俺たちの戦いはこれからだ)エンドなのが残念でした。