運命の人は、嫁の妹でした。   逢縁奇演(電撃文庫)



結ばれるのは今世の嫁か、それとも前世で愛を誓ったその妹か。予測不能なヒロインレースストーリー。
大枠としては三角関係もののラブコメですね。タイトル的に最近流行の不純愛ものっぽく見えますが
事はそう単純ではありません。何せヒロインの片方が前世での運命の人なわけですからね。
しかし今世の嫁も今世での運命の人なのは確かなのだから、これほど難しい三角関係も珍しい。
社会的通念に従うなら今世の嫁一筋であるべきですが、前世の記憶が蘇った以上は…
互いの顔を知らないまま結婚する「ブラインド婚活」といい、とにかくインパクトを畳みかけてくる作品です。
ラブコメ面は前世と今世、それぞれの運命の女性に挟まれてしまった主人公ですが、さて。

主人公は互いの顔を知らないまま結婚する「ブラインド婚活」なる蛮勇をかました結果
嫁である兎羽より先に嫁の妹である獅子乃と同棲生活をはじめることになってしまった二十七歳の青年。
良くも悪くもまっすぐ真面目過ぎる性格で「困っている人がいたら助ける」を自然に行うお人よし。
また、思い込みが激しく、愛が重いタイプで、裏切られることを全然考えず相手を信じてしまいがち。
初婚ではなくバツイチで、前の妻との離婚理由は子供が欲しいか否かで意見が分かれたため。
仕事は横浜中華街にあるアパートの管理人で、副業としてたまに探偵業をしている。
学生時代、本気でテッペン目指してバンドをやっていた時期があり、アルバムも何枚か出していたり。

ヒロインは潔癖な嫁妹、自由人な嫁。サブにフリーダムな悪友、褐色メイドお姉さんなども。
一番のお気に入りは主人公とブラインド婚活の末、籍を入れた高校二年生十七歳の嫁、千子兎羽。
肉食めいた、姫のように自信を纏わせた宝石を想起させる美しさの黒髪巨乳(Hカップ)美少女にして
紡績で財を成し、現代であっても材を成長させ続けている、江戸時代から続く名家の長女。
刹那主義的で適当、面倒くさがりな性格で、自分が楽しければ何でもいいと考えているタイプで
いつもふにゃふにゃ笑って、他人に感情を見せないようにしているが、それは根が臆病ゆえ。
また、プライドが高いが不器用でメンタルがトランプタワーな恥ずかしがり屋なため、逃げ癖がある。
座右の銘は「死なばもろとも」。好きな食べ物はホタルイカ、趣味は生存。
得意なことは河原の石を積み上げることで、苦手なことは犬を撫でること(噛まれそうで怖いから)
普段は狡猾で賢いが、耳年増なだけで実は色恋には純情でビビリなクソザコ。
主人公とは初対面を装っているが、本当は小学三年生の時に当時高校生の彼と出会っている。

現時点(二巻)においての評価はC。
形だけ見れば三角関係ラブコメなのに、内包されている情報がとにかく多くて重すぎる作品。
前世という要素だけでも既にややこしいことになること間違いなしなのにもかかわらず
ヒロイン同士の姉妹という関係性や、前世や今世における世界観など、物語に大きく影響を与えるであろう
設定も盛りだくさんで、ただのラブコメでは終わらない読み応えがあります。
とはいえ、メインはあくまで恋物語であることも確かなので、ヒロインの可愛らしさに萌えるのも大事。
メインヒロインである獅子乃は前世でおねショタ、今世でおにロリと逆転関係なのが印象深く
もう一人のヒロインである兎羽は自由人に見せかけて超がつく乙女なのがギャップ可愛いですしね。
本筋は前世がひとつではなく、更には周囲の人たちも前世に関係があることが判明し…?