となりの悪の大幹部! 佐伯庸介(電撃文庫)
戦隊ヒーロー(グリーン)が元悪の幹部と過ごす日常コメディストーリー。
大枠としては戦隊ヒーローものですね。悪の組織と戦隊ヒーローが戦いを繰り広げる現代日本を舞台に
戦隊ヒーローのグリーンを務める主人公が、戦闘に恋愛にと奮闘する姿が描かれています。
特徴というか、本作のキーポイントはヒロインが元悪の組織の大幹部であるということ。
力をもう持っておらず、悪の組織からは離脱しているとはいえ、その関係性は怨敵の一言なわけで。
このロミジュリ展開を変に重くならないよう、ほのぼのかつコミカルに描いている手腕は見事の一言。
ヒーローものらしく燃える展開も用意されており、緩急もバッチリかと。
ラストはこっそりと復活し暗躍していた敵幹部を愛の力で撃破し、ハッピーエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのアシェラー(ついでに大首領とも)と結ばれて終了。
主人公は街に蔓延る怪人たちを打ち倒す、万色戦隊バンショクジャーの緑色担当、バンショクグリーン。
昼は高校の非常勤講師(世界史)を務めており、その多忙さゆえに私生活はかなり荒んでいる26歳。
ヒーローを務めているにしては正義感や英雄願望は然程高くなく、我が身が大事な俗物で小市民的な性格。
その一方で、こうと決めた時の行動力と男らしさには目を見張る部分も。
趣味はアクションフィギュア。
ヒロインは猪突猛進な元大幹部、合法ロリな元首領。
一番のお気に入りは主人公の住む部屋の隣に引っ越してきた元悪の組織の大幹部、久里アシェラー。
絹糸のように輝く銀の髪に、エキゾチックな褐色の肌、蒼い瞳、抜群のプロポーションを有する美女。
主人公に正体がバレるまではお淑やかで気さく、それでいて思わせぶりな態度の未亡人だったが
戦を己が役割として生きてきた武闘派なだけあって、素は脳筋で尊大な面が強い。
大首領への忠誠心や主人公への愛など、情を向けた相手への感情がやたらと重くなりがちなところも。
何気に料理や裁縫といった家事能力はバッチリで、嫁適性はかなり高い。
現時点(一巻)においての評価はC。
主人公はグリーン担当なのに、生活はブラックな上、報われていないのが面白くも不憫すぎる…
支援メインだから世間からは地味と言われ人気がなく、そのくせ支援担当ゆえに休みがロクにもらえない。
隊内では他の四人で二組カップルが成立しているため一人だけあぶれている。
しかも、二足の草鞋の割には生活が質素という。戦隊側からは給与もらっていないのだろうか。
まあ、仲間たちには慕われているようですが、こんな荒んだ生活を続けている中で、お隣に引っ越してきた
褐色美人な未亡人が下心なく優しくしてきてくれたなら、そりゃコロッといっちゃいますよね。
多少(?)愛が重いところがありますが、妖艶さと純粋さを併せ持つ妙齢美女とか惹かれないはずがない。
本筋は話の発端から決着まで、一巻完結で綺麗に纏まっていたと思います。
クライマックスも、愛を前面に押し出して、笑いあり病みあり熱さありと盛り上がりも十分でしたし。