妹はカノジョにできないのに   鏡遊(電撃文庫)



何があっても最後には“絶対に”妹と結ばれるラブコメストーリー。
大枠としては妹をメインヒロインに据えたラブコメですね。相手が相手なので当然同居ものの要素もあります。
溺愛しまくっていた妹(雪季)が実は義妹だったと判明し、女の子として見るようになってしまった。
妹もののラブコメとしては王道の展開だな、と思いきや雪季と離れ離れになっている間に主人公に同級生の
彼女ができるわ、更にはその娘こそが実妹だったことが判明するわと予想外の連続すぎて落ち着きません。
というかこの三角関係、事実が判明した後だと泥沼なんてレベルじゃない恐ろしさである。
タイトルはそういう意味かよ! と叫びたくなる一巻ラストのインパクトよ…
ラストは妹である雪季をカノジョにし、これからもずっと世界一幸せであり続けるのだったエンド。

主人公は両親の離婚が切欠で、実妹だと思っていた雪季が義妹だと知ってしまった少年。
身長は181センチ、多重は66キロ、すらりとして脚も長い、と外見は外国人並のスタイル。
真面目な性格だが、融通が利かないわけではない。超がつくレベルのシスコンで、妹にはダダ甘。
中一の頃、バスケ部に所属していたが、妹と登下校するためという理由で退部している。

ヒロインはブラコンな妹、クールな同級生、ボクっ娘な後輩、面倒くさがりな先輩、従妹な若女将、おっとり系元カノ。
一番のお気に入りはある日突然実の妹ではないと判明してしまった最愛の妹、桜羽雪季。
長く艶やかな、淡く染めたストレートの茶髪に、小顔で目鼻立ちがスッキリ整った長身の巨乳美少女。
大人しく素直で几帳面な性格をしており、母親の影響で誰に対しても敬語で喋る。
常に感情豊かで表情にもはっきりと出るタイプだが、家族や親しい友人以外にはコミュ障な人見知り。
また、キラキラした見た目に反し、勉強もスポーツもまったくできなかったりと、欠点多め。
ただ、家事だけは普通にこなせるため、これに関してだけは兄相手でも一歩も引かない。

評価はC。
実妹はカノジョにできないよね。でもまあ義妹ならセーフだしカノジョにして問題なし!
と思いながら読んでいたらまさかの「既に実妹を彼女にしていました」という驚愕の展開が凄い。
というかこれ、大体父親が悪いというか、元凶であり、主人公たちは基本的には悪くないんだよなぁ…
そりゃ実妹だと思っていてシスコン全開だったところを、実は義妹でしたとなればそこから女として意識するのは
仕方ないことですし、妹と離れ離れになったことで心に隙間ができてしまい、そこに入ってきた女の子と
恋人になってしまうのもおかしなことではない。ただ、その娘の正体が大問題だっただけで。
まあ、そのあたりのことを抜きに考えても、主人公と雪季の兄妹のシスコンブラコンっぷりはヤバかったですが。
高一と中三で一緒にお風呂に入るレベルの仲良しっぷりはいくらなんでも不穏すぎぃ!
本筋はタイトルをしっかり回収しての完結と、綺麗な形で纏まっていた印象。
主人公が最後の最後で出した結論である「妹だからカノジョにしたいんだよ」も、それでこそ妹ヒロインへの告白!
といった感じで、今までのマイナス分を帳消しにするだけの格好良さがありましたしね。